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聞香、唐紙作りなど日本の伝統文化に触れる体験を

 香木の香りに心を傾け、じっくりと鑑賞する「香道」は、茶道、華道と並ぶ三大芸道のひとつ。とはいえ、ほか2つに比べて目にする機会は限られています。そんな知られざる香道の世界を垣間見ることができるアクティビティが「聞香入門」(3,388円。要予約)です。

 教えてくれたのは、京都「山田松香木店」の指導を受けたスタッフ。香木の種類や、香道の歴史に関するレクチャーを受けて、さっそく実践です。まず、灰の入った香炉の中央に赤く起こした「炭団(たどん)」を埋め、周囲の灰をかきあげて山型に整え、山の頂点から垂直に1本の火箸を刺して炭団の熱を通し、その上にごく薄い雲母の板「銀葉(ぎんよう)」をのせ、小さく割られた香木(伽羅/きゃら)をのせて、準備完了。

 香炉を手に取り、微かな香りを“聞き”ます。それは、感覚を研ぎ澄まして微妙な変化を感じる、という深い集中とリラックスが同居するような不思議な体験でした。

 各客室の寝室に使われている「京唐紙」は、和紙に1枚ずつ手摺りされた伝統文様が美しい唐紙です。現在、100年以上前の古い版木を用いて唐紙を製作しているのは京都に2つしかなく、そのうちのひとつ「京からかみ 丸二」が「星のや京都」の唐紙を手掛けています。

 その本格的な版木と絵具を使い、ポストカードを作るアクティビティが「唐紙づくり」。伝統的な文様の版木から好きなものを選び、雲母(きら/花崗岩から作られるメタリックな顔料)に好みの色を加え、それを版木につけて和紙をのせ、手ですりすりしながら紙に文様を写し取ります。                    ※唐紙づくりは、現在「おこもり記念日プラン」(1組13,000円/宿泊料別)の特典です。

 2度摺ることで、ふっくらとした独自の風合いの唐紙が完成。和紙の色と絵具の色、文様の組み合わせにセンスが問われる作業に、誰もが夢中になります。でき上がったポストカードはお土産に。

2023.04.15(土)
文=伊藤由起
撮影=橋本篤