成人女性の3人に2人が経験者というデータがあるほど、実は身近な悩みである「尿もれ」。簡単なトレーニングと進化した尿もれパッドを併用することで、日常はかなり快適になります。
![Sung Jin Cho/Unsplash](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/1280wm/img_4604ea0b65e3e5e5a200da216d95a41d147577.jpg)
尿もれと聞いてドキッとした人もそうでない人も、まずは下のデータを見てほしい。花王の調査によると、30代のおよそ3人に1人、40代では半数近い女性が尿もれの経験有り、と回答している。尿もれは決して、他人事でも少数派の悩みでもないのだ。
「尿もれ経験者の数は、以前からほとんど変わっていません。ただ、コロナ禍において外出機会が減ったことが影響しているのでしょう。この1年間で尿もれが悪化したと感じている方が2割ほど増えています」(花王 サニタリー事業部 手島佑梨さん・以下同)
尿もれの経験はありますか?
![緑:今までに「尿もれ」の経験はない
黄:最近1カ月間はないが、過去に「尿もれ」の経験がある
赤:最近1カ月間に「尿もれ」の経験がある](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/c/1280wm/img_6cdfcbf5ac10c0ba8aa9d269277be4e659046.jpg)
黄:最近1カ月間はないが、過去に「尿もれ」の経験がある
赤:最近1カ月間に「尿もれ」の経験がある
最近1カ月間と過去に尿もれのある人を合わせると、全体で約44%の女性が尿もれ経験あり、という結果に。年代別では、30代の35.2%、40代の45.8%が尿もれを経験しており、若い世代にとっても尿もれが無関係ではないことがわかる。今は経験なしという人も、記事を参考に骨盤底筋トレーニングをしておくことが予防になるはず。
(2021年 花王調べ[調査対象:30~70代の女性1,648人])
尿もれしやすいのはどんな人?
個人差もありますが、下記の項目で該当する数が多いほど、尿もれしやすいと言えます。
□ 年齢が40歳以上
□ 出産経験がある(特に、出産回数の多い方)
□ 難産の経験がある
□ 肥満気味
□ せき・くしゃみがよく出る
□ 便秘しやすい
□ 膀胱炎になりやすい
□ 運動をする習慣がない
□ 筋力があまりない
□ ストレスが多い
□ ダイエットで極端にやせた
尿もれの大きな原因は、加齢による筋力低下、妊娠・出産による骨盤底筋の弛みと言われているが、肥満や運動不足、過活動膀胱などさまざまな要因により、20代や30代でも、出産経験がなくても、誰でも尿もれになる可能性はある。
運動不足も尿もれの原因に!
尿もれには大きく2種類ある。
女性の尿もれの大半が、咳やくしゃみ、ジャンプなどをした拍子にお腹に圧がかかって尿がもれる「腹圧性尿失禁」。そして、冷たいドアノブに触れるなどの刺激で尿がもれたり、トイレに間に合わないほどの急激な尿意に襲われたりするのが「切迫性尿失禁」。
「腹圧性尿失禁」は、尿道括約筋を含む骨盤底筋が弛むことで起こる。最大の原因は、加齢や妊娠・出産だが、肥満による脂肪の重みで骨盤底筋に負荷をかけ続けたり、運動不足で筋力が弱ることも原因の一つ。コロナ禍で尿もれが悪化したと感じる人が多いのもこのためだ。
![骨盤底筋は、骨盤内にある子宮や膀胱、腸などの臓器を支える筋肉の総称。骨盤底筋を鍛えるトレーニングを継続すると、早い人で2〜3週間程度で効果を実感できるそう。(図:花王ロリエHPより)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/1280wm/img_f93fe7bed26a9e5ea2449fa8d32e637975720.jpg)
いずれの場合も、解決策となるのは骨盤底筋を鍛えるトレーニング。骨盤底筋は体の内側にあるため動かす感覚をつかむまでに少し時間がかかるかもしれないが、コツがわかれば信号待ちや電車での移動中に人知れず鍛えることができ、習慣化もしやすいので、諦めずに続けてみてほしい。
トレーニングの第一歩は、骨盤底筋を動かし“収縮”する感覚を身につけること。コツは、膣をストローに見立て、水やゼリーを吸い上げるように引き上げるという感覚だ。ただお腹を凹ませるのではなく、引き上げてお腹の奥の方が動いている感覚をつかんだら、次は、1秒間隔の短い収縮を繰り返してみよう。
【短い収縮のやり方】
1. 息を吐くときに骨盤底筋を収縮させる。
2. 息を吸って力を抜く。
※1と2を1秒間隔で繰り返す。
※短い収縮に慣れてきたら、2〜10秒以内で少しずつ間隔を延ばす。
2023.04.10(月)
Text=Yuki Imatomi
Photograph=Ichisei Hiramatsu
CREA 2023年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。