人にはなかなか相談できないけれど、実は、多くの女性が悩んでいるデリケートゾーン(陰部)のかゆみ。かゆみを引き起こす原因とその対策を産婦人科医の清水なほみ先生に伺った。
かゆみの二大原因は?
「かゆみの主な原因は、『蒸れやおりものや経血の成分による刺激』と『接触したものや感染による炎症』です。下着やナプキンが当たる範囲で起こる炎症を接触性皮膚炎と言い、予防と改善には、刺激の元となるものとの接触を減らすことが鍵になります。通気性のいい下着を穿き、おりものシートやナプキンは2~3時間おきには交換しましょう」
VIO脱毛は、蒸れの予防に効果的と言えるのだろうか。
「確かに、蒸れの軽減にはなりますが、ナプキンなどが接触する面積は増えるので、かゆみの予防という点では一長一短です。ただ、脱毛するかはご自身の好みでかまわないと思います」
対策をしていても、かゆみが出たらどう対処すべき?
「手軽なのは、冷やしたタオルを優しく押し当てること。市販薬は、スースーとする清涼感でかゆみを抑えてくれます。よくオロナインやワセリンを塗る方がいますが、かゆみに効果はありません。また、不潔にしていたからかゆくなったと勘違いし、ゴシゴシ洗って症状を長引かせるケースも多いです。洗いすぎは乾燥の原因にもなり、かゆみを悪化させます。外陰部は、目の中やその周囲と同じくらいデリケート。強く擦ることは避け、手で優しく洗いましょう。お湯だけで汚れは落ちるので、石鹸も必要ありません」
もう一つ、デリケートゾーンの悩みとして挙げられるのが、時にかゆみの原因にもなるニキビやおできのようなできもの。
「外陰部のできもので多いのが毛嚢炎。いつも同じ場所に毛嚢炎ができる場合は下着による刺激を抑えるために、違う形の下着を穿きましょう。症状が軽いなら市販薬を塗って様子を見てもいいですが、必ず薬剤師さんに相談をしてください」
そのかゆみは病気の可能性も
かゆみとできもの、どちらのケースでも市販薬を2~3日塗って改善が見られない場合は、他の病気の可能性があるので早めに婦人科を受診したい。
「かゆみを伴う病気の代表格である膣カンジダは、おりものから出ている真菌(カビ)が原因です。そのため、おりものが触れる膣のふち周辺や小陰唇の内側にかゆみが出ているときは、病気の可能性を考えましょう。反対に、かゆみが大陰唇の外側なら接触性皮膚炎の可能性が高いと言えます。
カンジダは膣内の常在菌で、免疫力が低下したときなど年代を問わずにかかる可能性のある病気。市販薬は薬剤師さんを通してしか購入できません。
できものについては、性交渉で感染する尖圭コンジローマや梅毒のこともあり得ますが、ご自身で毛嚢炎との違いを判断するのは難しいでしょう。できものやそれに伴うかゆみや痛みがある場合には、婦人科の受診をおすすめします」
2024.12.23(月)
文=今富夕起
イラスト=竹井晴日