発売中の「CREA Due ベストフェムケア 2024」では、知見のある方々の「使ってみて本当によかったアイテム」を大特集。これから先の人生を、より自分らしく生きるためのヒントが詰め込まれた一冊から、フェムテックについて積極的に発信し続ける、伊藤千晃さんのインタビューをご紹介します。


自分をラクにする方法を伝えたい

 雑誌の連載やイベントへの登壇など、フェムテックに関連した活動を数多くしている伊藤千晃さん。アーティストである伊藤さんが、なぜフェムテックの伝道師となったのだろうか。

「2、3年ほど前、知人との会話で初めて“フェムテック”という言葉を知り、『女性なら絶対に知識を持っていたほうがいいよ』という言葉が耳に残って、その日に一人になってから、いろいろ調べてみました。そうしたら、そのとき私が感じていた不調を解決する策やアイテムがそこにはたくさんあって、のめり込むように興味が広がっていったんですよね」

この1年でフェムテックが浸透してきた実感がある

 まず、吸水ショーツやデリケートゾーン専用ソープ、月経管理アプリを生活に取り入れるようになり、そこからフェムテックに関する発信を始めるまでに、あまり時間はかからなかったそう。

「生理について話題にするのは憚られる―そんな空気感の中で育った世代なので、私と同じようにPMSなど生理にまつわることで悩んでいる女性が驚くほどたくさんいるということを、フェムテックを知る中で初めて実感したんです。そして、次の瞬間にはもう、フェムテックには解決できる方法があることをみんなに伝えて共有したい、という気持ちが芽生えていました」

 発信するには責任が伴うと考え、フェムテック協会認定資格2級を取得。当初は、言葉選びにも慎重になっていたという。

「最初は、偏見を持たれず、言いたいことがきちんと伝わるように、あえて腟ではなく“フェムゾーン”と言い換えていましたけど、最近ではその必要を感じなくなりました。この1年ほどで、フェムテックが浸透してきたことを肌で感じていて、私が腟という言葉を口にしたときに、どんな表情をしたらいいのか戸惑う方はまだいるかもしれないけれど、公の場で堂々と下ネタを言っていると揶揄するような風潮が薄れてきたように感じます」

2024.12.19(木)
Text=Yuki Imatomi
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Hair & Make-up=Nami Matsunaga
Styling=Masumi Yakuzawa

CREA Due 2024年10月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。