快適さが上回れば手間を手間と感じなくなる
伊藤さんは、20代を男女混合パフォーマンスグループAAA(トリプルエー)のメンバーとして駆け抜け、30歳を迎える年にグループを卒業し、男児を出産。ライフステージの変化とともに、体調も大きく変わった。
「出産してから、とにかく体がつらくて。20代では感じたことのない疲労感に襲われて、それがなかなか回復しない。でも、子育ては休みなく続いていくという状況にありました。年齢のせいだけではなく、自分の心が弱いからじゃないかとか考えてしまって、ものすごく気持ちが沈んでしまうときもあり、苦しかったです」
産前にはなかったPMSにも悩んでいたけれど、生理にまつわる痛みは我慢するもの、そんな固定観念が自分を縛りつけていた。
「グループで活動していた20代は、生理を頑張れないことの言い訳にしたくなかったので弱音は吐かず、でも、裏ではたくさん悩んで我慢していました。ステージで踊るので羽根付きナプキンを使うけど、羽根のところがスレて脚の付け根が痛かったり、汗で蒸れるのでかゆみを感じやすかったり、常に何かしらトラブルがあるような日々でした」
当時の自分と同じくナプキンで悩んでいる人に、吸水ショーツを使えば心身の負担が減ることを教えてあげたい。それもまたフェムテックを語る理由のひとつ。
「ステージに立つ2時間だけでも吸水ショーツに替えられたら、ナプキンのスレや経血の漏れを心配せずに済んで、身体的にも精神的にもすごくラクだったと思います。吸水ショーツは手洗いするのが面倒と思っている方が多いんですけど、私の場合は、手間よりも快適さのほうが断然上回っているし、実際に、それほど手間もかからないんですよ」
最初は、生理が来そうだなというときに吸水ショーツを試してみるのがおすすめだそう。
「念のためにつけるナプキンの無駄使いと煩わしさから解放されるだけでもQOLは格段に上がります。生理の1日目は経血量が少ない方が多いと思うので、吸水ショーツを軽く手洗いするだけで普通に洗濯もできるし、気になるなら、ランジェリー専用洗剤につけ置きしてから洗濯機で洗えばいいだけ。実際、手間と呼ぶほどのことでもないんです」
2024.12.19(木)
Text=Yuki Imatomi
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Hair & Make-up=Nami Matsunaga
Styling=Masumi Yakuzawa