女性特有の子宮頸がんや乳がんなどのがん検診は、すべての年代の女性が受けるべきとは限らない。いまの自分に必要な検診は何か、なぜ受ける必要があるのか。最新の情報にアップデートしておきましょう。


いま受けるべき婦人科検診は?

 子宮頸がんや乳がんなどの早期発見のためには、定期的ながん検診が大切だと理解はしていても、自分がどのタイミングで何の検診を受けるべきかを知っている人は案外少ない。産婦人科医の宋美玄先生に、年代ごとに受けるべき検診について教えてもらった。

「大前提として、子宮頸がん検診の細胞診、乳がん検診のマンモグラフィはがんの早期発見につながるというエビデンスがあります。厚生労働省は、子宮頸がんは20歳以上、乳がんは40歳以上の女性が2年に1回の検診を受けることを推奨しています

20~30代は子宮頸がん検診を

 20~30代のCREA世代の女性がまず受けるべきは、子宮頸がん検診ということになる。

「子宮頸がんは20代でも発症するがんです。性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染が主な原因で、性交渉の回数や人数の多寡に関係なく、生涯で50~80%の女性が感染するといわれています。

 通常、感染しても自然に治癒しますが、治癒後に再感染したり感染が持続したりすると、数年かけてがん化することがあります。ですから、10代でも性交渉があれば、定期的な子宮頸がん検診を受けることが望ましいのです

HPVワクチンを接種済みでも、検診はするべき?

検診の必要がないのは、性交渉の経験がない女性だけ。ワクチンは完全に病気を防ぐものではないので、検診は必要です」

 子宮頸がんと混同しがちな、子宮体がんについては、どのように考えたらいいのだろうか。

「子宮頸がんは検診で見つかることが多く、定期的な検診が死亡率を最大80%まで下げるというエビデンスがあります。一方、子宮体がんは、検診した場合と不正出血などの症状があってから受診した場合とで治癒率や生存率に大きな差がありません。

 閉経前後の女性に多いがんであることも加味すると、心身に負担をかけてまで検診を受ける意味はない、というのが私の見解です」

2025.03.02(日)
文=今富夕起
イラスト=竹井晴日

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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