
天気によって体調まで左右されるなんて理不尽なようにも思うけれど、そのままにはしておけない! どんな対策が有効なのか、天気痛研究の第一人者である佐藤純先生に教えてもらいました。
天気痛の人は気圧変化に敏感
「遠く離れた場所で台風が発生しただけで気分が沈みがちに」「ゲリラ豪雨の直前に決まって頭が痛くなる」。それらの症状は決して気のせいではなく天気痛だと教えてくれたのは、天気痛の名付け親であり日本初の天気痛外来を開設した医師の佐藤純先生。
「天気痛の代表的な症状は、頭痛、めまい、肩・首こり、古傷の痛み、関節痛、気分の落ち込みなどです。ただ、症状は多岐に渡り、症状が現れるタイミングも天気が崩れる前、低気圧が通過した後など人それぞれです。
天気痛を引き起こす要因は、気温・気圧・湿度の変化ですが、中でも一番影響が大きいのが気圧。三寒四温で天気がコロコロ変わったり、台風やゲリラ豪雨などで大きな気圧の変化があったりすると、天気痛に見舞われます。便秘がち、風邪をひきやすいなどの体質があるように、天気痛は気圧変化に敏感な体質なのだと考えると理解しやすいでしょう」
気圧の変化に敏感な人とそうでない人がいるのはなぜ?
「天気痛のメカニズムは今も研究中ですが、耳の一番奥の内耳という器官で平衡感覚を司る前庭が気圧センサーの役割を果たしていることまではわかっています。気圧の変化をキャッチすると、その情報が前庭神経を介して脳へ伝わり、自律神経を働かせて体の調整を試みますが、これがうまくいかないと天気痛の症状となって現れるのではないかと考えています」
成人女性の約8割、女性の3人に1人が天気痛というデータも。男性より女性のほうが天気の変化に敏感な理由はあるのだろうか。
「私のクリニックでも患者は女性が圧倒的に多く、男性は仕事を辞めざるを得ないほど悪化してから来院する方が多い印象です。女性には毎月の生理があって体の変化に敏感だから、天気痛にも気づきやすいのかもしれません」
◆天気痛チェックシート~梅雨Ver.~
その症状、もしかすると天気痛かも? まずはあなたの状態を確認しましょう。
A:感受性に関する項目
□ 雨が降る前(数日前~直前)や降っているときに、頭痛、めまいなど体調が悪くなる
□ 「もうすぐ雨が降りそう」や「天候の変化」を肌で感じる
□ 梅雨の季節になり、頭痛、めまい、気分の落ち込みなど、体調の悪い日が増えた
□ 梅雨寒が苦手、冷え性である
□ 梅雨の晴れ間で日差しが強かったり、気温が急に高くなると体調が悪くなる
B:体質に関する項目
□ 運動不足ぎみで、湿気が苦手である
□ いつも前かがみの姿勢や猫背になりがち
□ もともと頭痛もち、肩こり・首こりがある
□ 顔や足がむくみやすい
□ 日差しが強い屋外で頭痛やめまいが出た経験がある
診断結果

梅雨以外の季節(春・夏・秋・冬)については、ウェザーニュース「全国の天気痛予報®」の「天気痛チェックシート」(https://weathernews.jp/pain/checksheet/)より診断できます。
2025.06.17(火)
文=今富夕起
イラスト=竹井晴日
CREA 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。