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夕食は大輪の花火に包まれて魚介と旬の味覚を楽しむ会席料理

 夕食は、熱海の夜空を思わせる深い青に囲まれた食事処「和食ダイニング 花火」へ。大輪の花火のオブジェに包みこまれた半個室的空間で、「熱海舌つづみ」をテーマにした和食をいただきます。

 季節ごとに変わる料理は、さざえや金目鯛など、熱海を玄関口とする伊豆地方にちなんだ素材がもりだくさん。器の演出も楽しく、とりわけ個性的なのが「宝楽盛り」。波や船のモチーフを取り入れたオリジナルの器に八寸、酢の物、お造りを盛り付け、賑々しく登場します。

 はるか昔から海とともにある熱海の生活文化に思いを馳せながら、旬の魚介や地酒を味わい、熱海の夜はゆっくりと更けていきます。

 メイン料理は「台の物」と呼ばれる鍋。熱海の海の波しぶきをイメージして作られたオリジナルの土鍋で「金目鯛と牛、旬野菜のしゃぶしゃぶ」をいただきます。

 3つに分かれた鍋の中には、生姜を効かせた潮だし、トマト風味の冬菇(どんこ・干ししいたけ)だし、上品な昆布だし。金目鯛は潮だし、牛肉は冬菇だし、野菜は昆布だしでいただくことで、素材の持ち味が際立ち、味わいに奥行きが増します。

2023.03.10(金)
文=伊藤由起
撮影=榎本麻美