●クズ男の純粋さや優しさを演じた『恋のいばら』
――現在TBS系にて放送中のドラマ「私のシてくれないフェロモン彼氏」では、「推しの王子様」に続いて、ヒロインの年下彼氏役を演じました。なぜ“年下”役が多いんでしょうか?
まったく違う人物とはいえ、何なんでしょう(笑)。「やんごとなき一族」のときに、お兄さん役の松下洸平さんから「何歳なの?」と聞かれて「今年29歳になります」と言ったら、「ええーっ!」と驚かれたんです。みなさんから23~25歳に見られることが多いから、年下役が多いんでしょうか? あと、普通なら学園モノや連ドラのゲストなどでキャリアを積んでいくと思うんですが、それを経験せずに25歳でデビューしていたことも若く見られる理由なのかもしれません。
――そして、最新出演映画『恋のいばら』。ここで演じられる健太朗に関しても、これまで何度も演じられているカメラマン役です。
たぶんカメラマン役は4回目ぐらいなんです。しかも、今回は物語の性質上、どうしても女性の敵にしかならない。憎まれ役にしかならない難しい役どころでした。これは客観的に見てもしょうがないのですが、2人のヒロインそれぞれの視点で健太朗を見ると、かなりいい奴なんじゃないかなと思うんです。写真に残したいと思うのも、綺麗なものを残したいと願う純粋な気持ちからシャッターを切っているだけ。それが顕著に出ているのが、おばあちゃんに対する愛情だと思います。
●目標は舘 ひろしさんのような懐の大きい男
――渡邊さんのキャリアにおいて、本作はどんな一作になりましたか?
僕の最初の健太朗のイメージって、ヒゲを生やして、髪もボサボサな感じだったんです。そういうヴィジュアルで、クズさを出していこうと思っていたんですが、監督と話し合いを経て、急遽柔らかいキャラに変更することになり、衣装も当初のものから大きく変わったんです。そういうこともあり、初めて自分のテンションを変えずに演じた役になりました。先ほども話したように、これまで「若い・可愛い」役が多く、そこに合わせるために、声を高くして温度を上げていたんですが、今回はだいぶ素に近い温度でナチュラルに演じました。だからか、撮影が終わった感覚がない(笑)。ファンの方の反応も楽しみです。
――最後に、将来の目標・展望について教えてください。
そういうのは、あまりないんです。コロナ禍でいろいろ考えたというのもあるんですが、仕事があるだけで、どんなに有り難いものかと。だからこそ、いただいた仕事に必死に向き合って、精神を注いでいけば、自ずと何かに繋がっていくんじゃないかなと思っています。とりあえず、目の前のことにぶつかっていくという、これまでの姿勢を崩さないのが目標です。役者としてというよりは、人として成長していきたい。そして、『鋼の錬金術師』シリーズでご一緒させていただいた舘ひろしさんのような、海みたいに懐の大きい男になりたいです。
渡邊圭祐(わたなべ・けいすけ)
1993年11月21日生まれ。宮城県出身。2018年「仮面ライダージオウ」で俳優デビュー後、ドラマ「推しの王子様」「やんごとなき一族」、映画『鋼の錬金術師』シリーズ、『ブラックナイトパレード』などの話題作に出演。現在ドラマ「私のシてくれないフェロモン彼氏」に出演中。3月17日には『わたしの幸せな結婚』の公開が控える。
映画『恋のいばら』
1月6日(金)より公開中
図書館に勤める桃(松本穂香)は、自分を振った元恋人・健太朗(渡邊圭祐)のSNSを見て、彼に莉子(玉城ティナ)という新たな恋人がいることを知る。自分と正反対の洗練された莉子に興味を抱いた桃は、ある理由から彼女に直接会いに行く。桃は莉子に健太朗が撮った自分との秘密の写真データを取り返したいと話し、2人は秘密の共犯関係に陥っていく。
https://koinoibara.com/
©️2023「恋のいばら」製作委員会
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2023.01.13(金)
文=くれい響
写真=鈴木七絵