●音楽と俳優ができる事務所の門を自ら叩く

――それから、どのように俳優の道に進まれたんですか?

 モデルをやりながら、フォークシンガーとしても活動していたのですが、まだ無所属だったので、音楽活動と俳優活動の両方やれそうな事務所を自分で探して、大好きな村上淳さんと渋川清彦さんが所属している今の事務所(ディケイド)の門を叩きました。それが2015年ぐらいですね。以降、俳優としていろんな作品に出るようになりました。

●パラレルワールドにいるような映画の現場

――『アイネクライネナハトムジーク』など、映画ではミュージシャン役を演じることも多いなか、『PRINCE OF LEGEND』で演じられた「Team3B」に所属するバンドマン王子が印象的でした。

 映画の現場は音楽の現場とは関わる人の数が違いすぎますし、半端ない緊張感が刺激的なんです。そこでの立ち振る舞いみたいなものは音楽活動に生かされますし、逆に音楽の現場で培ったものが映画の現場で生きることもあるし、今まで意識していなかったことが意識できるようになるんですよね。

 だから、両方やっていくのが僕に合っているんだろうな、と思っています。『アイネクライネナハトムジーク』の路上ミュージシャンは自分が夢に思い描いていたような役柄でしたし、『PRINCE OF LEGEND』は逆に想像もつかなかったキャラクター。現場がすごくキラキラしていて、まるでパラレルワールドにいるような不思議な気持ちでした。

――最新作となる『ゆめのまにまに』は、所属する事務所の設立30周年記念映画でもあります。その主人公である古物店の店番・マコトを演じることに関しては?

 思いがけないタイミングで、主人公のマコトという役をもらえて、ビックリでしたし、人生って面白いなと思いました。しかも、店主役は村上淳さんだし、有り難うございますという気持ちでいっぱいでした。とにかく目の前のことをやるしかないな!と。古いモノが好きだったりと、マコトは自分に近い役柄でした。違う点は他人にあまり干渉しないところ。僕は他人に対して首を突っ込みがちで、いろいろと聞いてみたくなっちゃう性格なので(笑)。

●主演映画『ゆめのまにまに』では主題歌も担当

――こだまさんの新たな音楽ユニット「酔蕩天使(よいどれてんし)」のフロントマンとして、書き下ろし主題歌「サンローゼ」も担当されています。自身にとって、どんな作品となりましたか?

 ミュージシャンとして、俳優として、これまで自分が積み上げてきたものや、やりたかったものが詰まっているからこそ、この作品に懸ける意気込みみたいなものは強かったですね。気づいたことは全部準備して、現場では全力でやりました。

 公開を控えた今は、ドキドキした焦りとワクワクな期待が入り混じった感情でいっぱいです。「どうにもならないときは、モノでも人間関係でも愛着を持って手放そう」という、この映画のテーマからも学ばせてもらいました。あまり力み過ぎず、ニュートラルな気持ちでやっていく方が魅力的な人間に見えるのかな? と思うようになりました。

――今後の夢や展望について教えてください。

 ミュージシャンとして、俳優として、有り難いことに、夢に描いていたことが実現してきています。最初にやりたかったフォークソングに関しても、「酔蕩天使」に昇華している感じですし。なので、今後はやっぱり「最高の作品を残していきたい」という気持ちが強いです。これについては永遠の課題になるとは思いますね。

 憧れの人は堺 正章さん。ミュージシャンも俳優もやられていて、コメディリリーフとして人を笑わせたり、ジャンルに縛られない昭和を感じさせるエンターテイナーなので大好きです。

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こだまたいち

1991年3月13日生まれ。愛知県出身。ファッション誌「メンズノンノ」の専属モデルを経て、俳優・フォークシンガーとして活動中。俳優として、『アイネクライネナハトムジーク』(19年)、『PRINCE OF LEGEND』(19年)などがあるほか、フォークシンガーとして、2019年にEP「たいちのズッコケだよ人生は」をリリース。22年には新ユニット「酔蕩天使」のフロントマンとしても活動をスタートしている。

映画『ゆめのまにまに』

浅草六区の古物店・東京蛍堂で働くマコト(こだま)。夏の終わり、不在が多い店主に代わって毎日のように店番する彼の前に、訳アリな様子の女性・真悠子(千國めぐみ)が現れる。そして、足繁く店に通うようになる彼女のことが、マコトは気になり始める。
©2022 ディケイド
2022年11月12日(土)より東京・ユーロスペースほか、全国順次公開
https://yumenomanimani.com/

Column

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文=くれい 響
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