薔薇の甘い香りに包まれるブルガリアの町へ
ブルガリアに到着したのは薔薇祭り最終日の日曜朝。車を飛ばしてメイン会場のカザンラクの町に着いたときには、パレードが始まったところだった。急いでカメラを持って人垣の中へ。
今まで写真で見ていたパレードは民族衣装を着た女性のものだけだったけれど、衣装も年齢層も、さまざまなグループが通り過ぎる。なかには空手着のグループや、浴衣を着た日本人の皆さんも。
なかでも、写真ではお伝えすることができないのがダマスクローズの香り。グループによっては薔薇の花を撒きながらパレードしているのだ。ローズウォーターも振りかけられ、町全体が薔薇に包まれてとってもいい香り!
そして、大盛況のパレードが終わると、カザンラクのメインストリートにはピンクの花びらがたくさん落ちていて、甘い残り香が。興奮醒めやらずにハイテンションのまま滞在先のホテルに向かった。
すると、今度はレセプションの直径50cmあまりのガラスの器に大量のダマスクローズの花びらが! 顔を突っ込みたくなる気持ちを抑えてチェックインの手続きをしていると、もうその花びらを片づけようとしているのだ。
「ちょっと待って!」と、思わず声がでてしまった。南フランスのグラースで、薔薇祭りの後に捨てられていた大量の薔薇の花を思い出したから。捨ててしまうならと、その花びらをいただいて部屋へ。この日の夜は、ホテルのバスタブがまたも豪華な薔薇風呂に大変身!
すっかり薔薇を楽しんでから、もうひとつの薔薇の町カロルヴォへ。この町で滞在したホテルは、なんと裏に薔薇園を持っていて、滞在ゲストは自由に薔薇摘みを楽しむことができるという。
荷物を部屋に置いて、さっそく薔薇摘みをさせていただいた。ダマスクローズの茎は柔らかいので手で摘むことができる。たくさんの薔薇を摘むうちに指が茶色に染まってきた。顔に近づけると濃厚で甘い香りが。もちろん、この日の夜もホテルでは薔薇風呂! ダマスクローズ収穫シーズンのブルガリアは、至福の薔薇体験の宝庫だった。
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2013.10.22(火)
text & photographs:Aisha Takase