世界を旅してきた女性トラベルライターが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたままどこにも公開しなかった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第4回は、たかせ藍沙さんがフランスとブルガリアで満喫した至福の薔薇体験。

フランスきっての香水の町、グラースで薔薇風呂を堪能

フランス国立香水博物館所有の薔薇園。薔薇だけでなく季節の花々が咲く一角もある

 薔薇の香りには女性ホルモンを増やす効果がある。そう聞いたのは、モロッコでダマスクローズに出会って帰国してからのこと。そのさまざまな美容・健康効果に興味が湧き、摘みたての薔薇の香りが忘れられなくなった。トルコでは初めての薔薇摘みも体験した。そして世界四大薔薇産地すべてを見たくなり、フランスとブルガリアまで足を延ばした。

 南フランスのグラースは香水で知られる町。周囲には、香料の原料となるセンチフォリアローズの農園がある。ダマスクローズに比べてやや大きく薄い花弁に、すっきりして大人びた香りが特徴だ。

 訪れたのは薔薇祭り翌週。この町には国立香水博物館があり、香水の歴史からサンプルによる香り体験、日本の香道の展示まで、香水に関するありとあらゆる情報を知ることができる。余り知られていないが、この博物館が郊外に薔薇園を所有しているのだ。

香水の原料となる芳香を楽しみながらの薔薇摘み!

 さっそくその薔薇園に行ってみた。入園料は3ユーロ。入口にある平屋建ての建物内には香水の歴史に関する展示とギフトショップがあり、受付カウンターには持ち手が付いた籠が置かれていた。聞くと、薔薇摘みができるという。ならばと、大きなほうの籠を借り、薔薇園をほとんど独り占め状態という至福のひとときを堪能させていただいた。

 写真撮影が目的だったので、籠が満杯になるまでセンチフォリアローズを摘んであれこれ撮影。そして、嬉々として満杯の籠を持って戻ると、入口の女性が少し驚いたような困惑したような顔をして、15cm四方ほどの紙袋を数枚渡してくれた。

 薔薇農園での薔薇摘み体験から、ついつい収穫のお手伝いをしているような気持ちになってしまったものの、ここは観光薔薇園だ。摘んだ薔薇は持ち帰ることになる。よく見ると、他の皆さんは小さな袋ひとつに入る程度の量しか摘んでいなかった!

 少し申し訳ないような気持ちになったものの、ありがたく持ち帰り、この日の夜はホテルのバスタブで薔薇風呂を楽しむことにした。

ホテルの素っ気ないバスタブが豪華な薔薇風呂に変身!

 センチフォリアローズは生産量が少ないので、ダマスクローズよりも高価な薔薇。なんとも豪華なバスタイムとなったのだった。

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2013.10.22(火)
text & photographs:Aisha Takase