ナシカンダーの歴史に人生を重ねるまるちゃん

 さて、「ゼロツー」という店名から、カレー好きの方ならピンときた方も多いのでは。大阪の間借りカレー店からスタートし、現在は、東京・三田の人気店として知られる南インド料理店「ゼロワンカレーA.o.D」(以下ゼロワン)を。

 ゼロワンオーナーの立田侑志さん(通称まるちゃん)がインドへの料理研究旅の途中で、偶然立ち寄ったマレーシアのカレー文化に魅了され、2店舗目として新たにオープンしたのが「ゼロツー」なのです。 

 「インドのカレーとナシカンダーのカレーには、別のおいしさがある。もしかしたらナシカンダーのほうが日本人は食べやすいかもしれません」とまるちゃん。

 そして、「マレーシアに渡ってきたインド移民が、金もない、コネもない、店もないという状態から、料理の腕だけで勝負して作り上げたナシカンダー。この歴史にロマンを感じます」と。

 もうひとつ「ゼロツー」でおすすめなのが持ち帰り。注文すると、料理がバナナの葉っぱに包まれて弁当箱にイン。

 家に着くころには、ご飯とカレーが一体化して、さらにバナナのトロピカルな香りをまとい、おいしさがアップしているのです!

 料理はすべてイスラム教徒の方も安心して食べられるハラル対応。ベジタリアン・ナシカンダーも用意されていて、誰もが楽しめる店です。マレーシアのカレー文化をぜひご体験あれ。

マレーシアごはんの会
古川 音(ふるかわ おと)

「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもつ。著書に『マレーシア 地元で愛される名物食堂』(ダイヤモンド社)。
オフィシャルサイト http://malaysianfood.org/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2022.03.17(木)
文=古川 音(マレーシアごはんの会)
撮影=新田知沙