味の決め手は魚のすり身ぎゅうぎゅうの野菜ダネ!

 常夏のマレーシアで暮らしていたとき、冬に食べたらもっとおいしいはず、と思っていた料理があります。在住者の間で“マレーシアのおでん”と呼ばれている、野菜とすり身のコンビ、ヨントウフです。

 ヨントウフは中国系の料理で、漢字で書くと「醸豆腐」。オリジナルは中国の客家料理である同名の「醸豆腐」といわれ、こちらは豆腐にひき肉を詰めたもの。それがなぜかマレーシアでは、多種の具を使ったバラエティに富んだ料理に発展しています。

 日本ではおでん真っ盛りのこの時期。スーパーで売っているおでん用の魚のつみれを使って、ヨントウフを手軽に再現してみました。とても簡単なので、おでん好きなら、ぜひトライ!

◇マレーシア版おでん ヨントウフ

■材料(2~3人分)


・魚のつみれ:200g
・海老:100g


・しいたけ:8個
・茄子:4本
・オクラ:1袋
・木綿豆腐:2丁

・鶏スープ:1.5リットル程度

・チリソース:お好みで

■作り方

(1) 海老を包丁でたたいて、細かくミンチ状にする。ボウルに入れ、魚のつみれをつぶしながらよく混ぜる。餡ができあがり。

(2) 茄子は下の写真を参考に厚めに斜め切り、木綿豆腐は三角形になるように切り、オクラは硬いヘタ部分を取り除く。それぞれ、餡を詰めるための切り込みをいれる。しいたけは石づきを落とす。

(3) 茄子、豆腐、オクラに餡を詰める。切り込みが裂けないよう慎重に。しいたけはカサの内側に詰める。

(4) フライパンで多めの油(分量外)を熱したら、しいたけと茄子の表面をこんがり焼く。スープで煮るので、火は完全に通らなくてもOK。

(5) 鶏スープで、豆腐、オクラを煮る。(4)のしいたけ、茄子も加えて、火が通ったら完成。

 たくさん作って翌日も食べれば、鶏スープが具に染みて、さらにおいしくなりますよ。家族の好みに合わせて具の数や種類をアレンジしてもマル。

 団らんにぴったりなアジア飯、ヨントウフを冬のレパートリーにぜひ加えてみて下さい。

マレーシアごはんの会
古川 音(ふるかわ おと)

「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもつ。近著は『マレーシア 地元で愛される名物食堂』(ダイヤモンド社)。
オフィシャルサイト http://malaysianfood.org/

Column

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現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2021.12.28(火)
写真・文=古川音(マレーシアごはんの会)
協力=チャーさん(マレーアジアンクイジーン店主)