石が好きなラブも煮干しが好きなラフもそれぞれかわいい

――そこから5年後、ラフちゃんが実家へやってきたんですね。ラブちゃんが亡くなってからも、福徳さんは当時開設していたブログに街中で出会ったラブラドールの写真を載せてましたし、ご自身で書かれた小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』にもラブラドールが登場します。ラフちゃんもラブラドールとプードルのミックスですが、どんなところに魅力を感じていますか?

 ラブラドールはデカいので密着感があって好きですけど……結局、どんな犬種でも好きやと思います。

 ラブが死んでから、犬の勉強を始めたんです。ベタですけど、あいつ、幸せやったんか? もっと何かできたんちゃうかって思って、文学的なものから科学的なものまでありとあらゆる本を読みました。

 本によると、動物の死に直面した人はみんな、今まで幸せやったんかっていう考えに行き着くみたいです。そうやって、いろいろな本を読んだ結果、犬それぞれ違うっていう答えに行きつきまして。なんやそれ! と思ってから、一切読まなくなりました。

うちの子ベストショット④

「似合わない髪飾りをしてダッシュ。」

――(笑)。実際そうだったんですか?

 人間は小型犬より大型犬のほうが愛情を持ちやすいっていう説があるんですけど、ラフもラブと同じようにかわいいですからね。

 ラブが好きやった石も、ラフは興味なさそうで。自然のものだと枝で遊ぶのは好きですけど、興味を引くほどではないみたいです。煮干しとおもちゃが好きで……散歩はあんまり好きじゃないですね。体力もあるし、一度歩き出すと帰るのを嫌がるくらいどこまででも歩くんですけど、出かけるのがめんどうくさいみたいで。

 抱っこして出て、ちょっと歩いてから離すと歩き出すのはほんまに謎です。ラブとは好きなものも性格もまったく違うから、やっぱり犬それぞれなんやなって実感してます。

母親が家を空ける日は休みを取ってラフと一緒に留守番する

――今、実家にはどれくらいのペースで帰っているんですか?

 2週間に2~3回、実家に帰って世話をしてます。大阪で仕事がある時は必ず寄りますし、長期休みの時は基本、実家にいます。母親が仕事で家を空ける日はあらかじめ聞いておいて、休みを取ってラフと一緒に留守番したりして。

――お世話が手厚いですね。

 まぁ、僕が会いたいですからね。母親が祖母のところへ行くとか、長い間、家を空ける時は大阪から東京まで車で連れてくることもあります。新幹線に乗れるか試したこともあったんですけど、鳴くし、ギリギリアウトな大きさで。ちっちゃい頃から慣れさせておけばよかったと思いました。

2021.11.26(金)
文=高本亜紀
撮影=橋本篤
写真=福徳秀介