お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう連載「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第7回に登場いただくのは、独創的な世界観を感じさせるネタが人気の天竺鼠・川原克己さん。

 若手時代の大阪在住時に保護したオスの猫・大久保くんと暮らしています。以前はメスの夏ちゃん、オスの春くん合わせて3匹と暮らしていた川原さんですが、2年前に夏ちゃんを、1年前に春くんを看取りました。

 ペットと暮らす中で避けられない動物の死と向き合いながら、今は腎臓の病を抱える大久保くんとぴったりと寄り添う愛情に満ちた生活をおくっているようです。

ある日突然はじまった猫との共同生活

――今、一緒に暮らしているのは、大久保くんだけなんですよね。

 17年くらい一緒にいるんですかねぇ。元々、春くんと夏ちゃんっていう黒猫が2匹いたんですけど、亡くなってしまって。今いるのは、大久保くんだけですね。

――大久保くんとはどこで出会われたんですか?

 僕、大阪にいた頃、5年間くらい市場にある八百屋でアルバイトしてたんです。市場って猫が多いし、親がいなくなったり、どこかに連れて行かれたりした子猫だけおるみたいなことが多くて。ある時、ごぼう屋さんやったかな? そこのおばちゃんが子猫やった大久保を連れてきたんです。で、「飼いや! 親がおらへんねん」って言われたので飼うことにしたんですけど、その後も子猫を見つけるたびに、そのおばちゃんが僕のところへ「若い子は元気なんやから、飼うてあげや!」って連れてくるんで、翌年に春くんを、その次の年に夏ちゃんを引き取りました。ほんまはもう1匹おったんですけど、引き取ってすぐ亡くなってしまったんです。

――保護された時点で、すでに弱ってたんですね

 引き取った晩に体調が悪くなって、夜間も診療している病院に連れていったんです。先生に「ちょっと危ないかもしれないから奥に連れていって診ます」って言われたんで渡したんですけど、検査してる部屋から笑い声が聞こえてきて。あとから聞いたら、普段はいない研修医がいたみたいです。しばらくして戻ってきた先生に「ダメでした」って言われてたんですけど、笑ってたのが我慢ができなくて、「誰がなにで笑ってたん? みんな家族やと思って(ペットを病院へ)連れてくるわけやん」って思わず言ってしまいました。普段、あんまり怒ったりしないんですけどね。

――当然の反応だと思います。小さい頃から動物は好きだったんですか?

 実家は鹿児島なんですけど、親父が犬を途切れることなく飼うてました。猫も野良がいっぱいいて懐いてたので、近くに動物がいるのは当たり前ではありましたね。

2021.08.20(金)
文=高本亜紀
撮影=深野未季
写真=川原克己