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うちの子ベストショット②
「3匹の大量の抜け毛のおかげでいつも布団が3倍フワフワ」(川原さん)
――3匹は大阪から上京される時、一緒に連れてきたんですよね。
1つのキャリーケースに春と夏、もう1つに大久保くんを入れて、新幹線で連れてきたんです。大久保くんは大阪の頃から7回引っ越してるので、1~2カ月前に引っ越した時も慣れたもんでした。家を決めた時、いちばん緊張するのは大久保を(部屋に)放つ瞬間。今回のところは秒で気に入ったからよかったんですけど、2つくらい前の家はずっとそわそわしてて。その土地とか間取りのよさを、大久保くんの反応で実感してます。
――で、大久保くんはずっと川原さんの膝の上にいると。
ほんまにずーっといますね。だから、僕、立ってパソコン作業してるんですよ。立ってても大久保くんは足元で僕が座るのを待ってるし、家中をついて回る。どこかでゆっくりしたらいいのにっていつも思ってます。座る前にいろんなことを済ませておかないと動けなくなるんで、飲み物とか必要なものを全部机の上に揃えてから座るんですけど、座ろうと体をかがめるとすぐ膝の上に手をかけてくる。早いんです。
――ほかの2匹がいた頃からそうだったんですか?
変わらずですね。春くんは珍しいなって思う程度に抱っこできましたけど、夏ちゃんはまったく近寄ってこなくて。2匹は猫らしく、窓の近くで外を見たり、ひなたぼっこしたりしてましたけど、大久保くんは膝の上から全然動けへん。僕の膝、“猫型の膝”なんじゃないかと思われてもおかしくないくらい、まったく動かないんで、「ほら、見てみぃ。春くんと夏ちゃんみたいに猫らしく、窓の近くに行ってみぃや」とか話しかけることも……。俺の顔、見たことあるんかなぁと思うくらい、大久保は膝ばっかり見てるから、外出してる今日も膝がどこかへ行った、と思ってる可能性はあります。
――(笑)。そんなに懐いてくれると、すぐ家に帰りたくなりますね。
なりますねぇ。寝る時も一緒なんですけど、1つ前の家に引っ越した時、布団が毛だらけになるんで、寝室に大久保くんを入れんとこうって決めたんですよ。で、入ろうとするたびに「ダメよ」って言い聞かせてたら、頭がいいからすぐに“ここからは入れないんだ”ってわかったみたいで入らないようになったんです。けど、ある日、ちょっとだけドアが開いてたら、入ってはこないんですよ? けど、ドアの隙間からギリギリ部屋に入らへんところでずっと待ってて。
――そんなにギリギリのところにいたら、じりじりと前に進んできそうですね。
そう! ちょっとずつ前に来て、ちょっとずつ入ってきていて。それを見て、もう入ってええよってなりました。ほかの部屋でゆっくりしたらええのにねぇ、しないんですよ。
2021.08.20(金)
文=高本亜紀
撮影=深野未季
写真=川原克己