伝説上の生き物に自身を重ねて描いたか

「猩々・手長と手長猿と手長海老」 河鍋暁斎記念美術館 [展示期間:5/21~6/16]
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 ほか、屏風、掛軸、華やかな扇面など能・狂言の舞台を描いた作品とともに、その元となった話を描く「山姥」や、ジョサイア・コンドルが所蔵していた「浦島太郎」まで、さまざまな画題、体裁の能画・狂言画によって、歌舞伎と同じくらい──は言いすぎかもしれないが──多くの人々に愛好された能・狂言という芸能の多彩な広がりがイメージできるだろう。

 暁斎は、能に登場する伝説上の生き物で、赤い顔で酒を好んだとされる「猩々(しょうじょう)」をよく描いたが、これにはもしかすると、酔っては興に乗るまま絵筆を取った暁斎自身が重ねられていたのかも知れない。

「猩々図」 太田記念美術館 [展示期間:4/20~5/19]
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河鍋暁斎の能・狂言画
会場 三井記念美術館
会期 2013年4月20日~6月16日
休館日 月曜日
開館時間 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
料金 一般1200円
問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル)
巡回 2013年7月12日~9月23日まで金沢能楽美術館で開催。

橋本麻里

橋本麻里 (はしもと まり)
日本美術を主な領域とするライター、エディター。明治学院大学非常勤講師(日本美術史)。近著に幻冬舎新書『日本の国宝100』。共著に『恋する春画』(とんぼの本、新潮社)。

Column

橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」

古今東西の仏像、茶道具から、油絵、写真、マンガまで。ライターの橋本麻里さんが女子的目線で選んだ必見の美術展を愛情いっぱいで紹介します。 「なるほど、そういうことだったのか!」「面白い!」と行きたくなること請け合いです。

2013.05.11(土)