映画デビュー作となった『告白』裏話とその影響力

――当時12歳ながら、準グランプリを受賞。そして、10年には『告白』で映画デビューを飾りますが、物語のキーパーソンとなる少年A(渡辺修哉)役。気持ち的にはどうでした?

 オーディションに合格したのは、すごく嬉しかったのですが、役を演じたこともないし、どう準備をしたらいいかわからない状態でした。撮影も今じゃ当たり前だけど、たくさんの大人の方々が動いており、空気も少し怖くて……。辛かった思い出しか正直ないですね(笑)。監督にはたくさんのアドバイスを頂いたのですが、とてもご迷惑をおかけしてしまいました。あとはウィルス性腸炎にもなってしまい……(笑)。

――撮影当時、インフルエンザがキャスト内で大流行したのは知られていますが、ウィルス性腸炎ですか?

 インフルエンザは前後左右の席の生徒役みんながかかっていたんですけど、僕は大丈夫だったんです。でも、最後の方に撮った美月(少女A)と2人っきりのシーンのときに、ウィルス性腸炎にかかって、40℃近く熱が出ていたんですよ。心のどこかでは「撮影休めるのかな?」と甘いことも考えていたんですが、マネージャーさんから「とにかく来てほしい」と言われたので、ニンニク注射を打って現場に行きました。そのときの経験もあって、このお仕事を続けるなら、元気で健康でいる方が楽だし、得なんだなと思いましたね。

――とてもインパクトのある役だけに公開後、ずいぶん周囲の方から反応があったのでは?

 じつは『告白』はR15+指定だったので、地元の同級生では観ることが出来ない子が多かったんですよ。その後、時間が経ってから、「観たよ!」とか、「そういえば『告白』出てたよね?」とか言われました。ただ、担任の先生からは、公開直後にバッと抱きしめられて「頑張ったね!」と言われましたね。あの時期は役柄にハマっていたので、撮影がない日も学校で元気がなかったんです。今でも共演する役者さんから「こんなにお喋りだと思わなかった」とか「あの役はちょっと怖かったけれど、喋ってみると普通なんだね」とか言われますね。映画デビュー作をここまでいろんな人に観てもらえることは、うれしいです。

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2012.12.21(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Nanae Suzuki
hair&make-up:fringe