珍しいエキゾチックレザーのバッグも

 そしていよいよ、メインの世界のカバンコーナーへ。

 まず、巨大なトランクが目に入りました。1880年代にヨーロッパを旅行した富裕層のトランク。すごい重そうですが、自分では運ばず、お付きの者が持つので問題ないそうです。

 持ち手にお付きの人の汗が染み込んでいるようで、ついそちら側に感情移入を……。

 そのうちの一個は日本の政府高官が使ったそうで、日本国旗や立ち寄ったヨーロッパのホテルのステッカーが貼られていました。

 現代のスーツケースにステッカーを貼る文化の元祖がここにありました。

 ヨーロッパの旅行カバンは高級品揃い。

 まず持ち手が、手でホールドするデザインしかなくショルダータイプは見られません。

 そちらの方がラクなのになぜ……? と思ったら「肩にかけたらスーツがシワになりますから」と廣崎さん。

 お恥ずかしながら、スーツを持ってないのでその発想はありませんでした。

 ちなみにスーツケースという名称も、スーツを入れて運ぶという意味からきているようです。今まで一度も入れたことがないですが……。

 ヨーロッパのカバンでは、高級ブランドのヴァレクストラの象革スーツケースやブリーフケース、カバ革アタッシュケースなんて珍しい品も。

 スペイン製でシマウマ革のボストンバッグもありました。貴族の狩猟文化が反映されたものだそうです。

2020.01.31(金)
文・漫画=辛酸なめ子
撮影=深野未季