東京は美術館や博物館の宝庫。話題のアートや貴重な展示が集まる大型施設のみならず、ひとつのジャンルに特化した“マニアック”なミュージアムもたくさん!
この連載では、東京中のありとあらゆる面白スポットに精通するコラムニストの辛酸なめ子さんが、今注目の“マニアック”ミュージアムをご案内します。
新国立競技場と
オリンピックシンボルがお出迎え
2020年を迎え、オリンピックの気運が高まってまいりました。新国立競技場のすぐ近くには日本オリンピックミュージアムがいつの間にかオープン。
抽選全部落ちたし、運動が苦手だし……と最初腰が引け気味だったのですが、現地に行って見たらカフェや芝生の園もあって素敵な雰囲気。文系人間でも楽しめそうな予感です。
庭園のオリンピックシンボルは、背後の新国立競技場を入れて撮影できる絶好の映えスポットになっていました。ここのシンボルは個人で楽しむぶんには自由に撮影し放題のようです。
1階「WELCOME AREA」には、聖火リレーのトーチやエンブレムのデザイン、スポーツピクトグラム、キャラクター、メダルのデザインなどが展示。
モニターではオリンピックの世界観をイメージした、一流クリエイターによる洗練された映像が流れていて、この1階のフロアは文系と体育会系の才能が高次元で融合している感じです。
そんな才能のヴァイブスに触発されつつ、折紙に選手へのメッセージを書くコーナーに参加させていただきました。ちなみにここまでは無料です。Wi-Fiもつながって、オリンピックにちなんだ木材で作られた家具もあってちょっとした休憩にも使えます。
ちなみに行った日は平日で、それにしてはお客さんが多いと感じたのですが、職員の方によると空いている方だそうでした。
ふだんはバスで団体客が訪れたりして、平日でも1日3000人の入場者があったり、かなり混雑しているとか。
オリンピックが近付くにつれますます混雑しそうなので早めに行くのがおすすめです。
2階の「EXHIBITION AREA」は有料ゾーンで、よりディープにオリンピックについて学べます。
「オリンピックってなんだろう?」そんな基本的な問いかけ(宮﨑あおいのナレーション)で始まり、オリンピックの歴史や、世界のオリンピック資料、世界のトーチ展示、スポーツを疑似体験できるコーナー、パラリンピックの映像、オリンピアンのエピソード、オリンピック関連デザインなど、様々な角度からオリンピック情報をインプットできます。
「オリンピックとは?」と問われて大人のスレた心では「利権でしょ」と答えたくなりますが、古代ギリシャのオリンピックの歴史やフランスの教育者がはじめた近代オリンピックの資料を見て、その意識の高さに感じ入りました。
古代オリンピックは、ギリシャで紀元前8世紀に、ゼウス神に捧げるために行われていたそうです。当時は女子禁制で、裸体で競技が行われていました。
この展示室には、なんと古代ギリシャで、選手が体についた砂や油や垢、汗などを落とすために使われていたへらの現物が展示されていました。古代アスリートの男性フェロモンの残り香が漂ってきそうです。
2020.01.21(火)
文・漫画=辛酸なめ子
撮影=佐藤 亘