東京は美術館や博物館の宝庫。話題のアートや貴重な展示が集まる大型施設のみならず、ひとつのジャンルに特化した“マニアック”なミュージアムもたくさん!
この連載では、東京中のありとあらゆる面白スポットに精通するコラムニストの辛酸なめ子さんが、今注目の“マニアック”ミュージアムをご案内します。
新国立競技場と
オリンピックシンボルがお出迎え
![左建物の1、2Fが日本オリンピックミュージアム。今回は、JOCが22億円を投じて整備したという、この施設に潜入!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/-/img_5a7d9983396a90c3503cd0d53721f13e168213.jpg)
![歴代オリンピックの聖火リレーのトーチや、オリンピック選手の身体能力を体験できるコーナーなど盛りだくさん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/-/img_dda7a5174ed9f68ae5e0a186a9cab37592543.jpg)
2020年を迎え、オリンピックの気運が高まってまいりました。新国立競技場のすぐ近くには日本オリンピックミュージアムがいつの間にかオープン。
抽選全部落ちたし、運動が苦手だし……と最初腰が引け気味だったのですが、現地に行って見たらカフェや芝生の園もあって素敵な雰囲気。文系人間でも楽しめそうな予感です。
![オリンピックシンボルと撮影できる貴重な場所。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/7/-/img_e76ed74882bce5c834384eeb5ec2695e183007.jpg)
庭園のオリンピックシンボルは、背後の新国立競技場を入れて撮影できる絶好の映えスポットになっていました。ここのシンボルは個人で楽しむぶんには自由に撮影し放題のようです。
1階「WELCOME AREA」には、聖火リレーのトーチやエンブレムのデザイン、スポーツピクトグラム、キャラクター、メダルのデザインなどが展示。
![東京オリンピック・パラリンピックで実際に使われる聖火リレーのトーチ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/-/img_825387bce87add3b5aa6bf1d0978b7aa51993.jpg)
![トーチは、上から見るときれいな桜の花の形。中心には今回の東京オリンピックのエンブレムが。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/7/-/img_77936c6f940dd02a71c8c62fe2518bd566988.jpg)
モニターではオリンピックの世界観をイメージした、一流クリエイターによる洗練された映像が流れていて、この1階のフロアは文系と体育会系の才能が高次元で融合している感じです。
![映像はNHK「ピタゴラスイッチ」などを手がける東京藝術大学の佐藤雅彦教授が監修。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/2/-/img_e20febb94ddfd8227763eee40f5cd1cd158915.jpg)
そんな才能のヴァイブスに触発されつつ、折紙に選手へのメッセージを書くコーナーに参加させていただきました。ちなみにここまでは無料です。Wi-Fiもつながって、オリンピックにちなんだ木材で作られた家具もあってちょっとした休憩にも使えます。
![折紙コーナーにて。選手へのメッセージが書きこまれた折紙は、集められてモニュメントになるそう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/-/img_849d10a367ba7288576cb3fa5e85b03378384.jpg)
ちなみに行った日は平日で、それにしてはお客さんが多いと感じたのですが、職員の方によると空いている方だそうでした。
ふだんはバスで団体客が訪れたりして、平日でも1日3000人の入場者があったり、かなり混雑しているとか。
オリンピックが近付くにつれますます混雑しそうなので早めに行くのがおすすめです。
![オリジナルグッズも充実。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/2/-/img_b2ba8ed77070296c92f9fa50d2ce3767102912.jpg)
2階の「EXHIBITION AREA」は有料ゾーンで、よりディープにオリンピックについて学べます。
「オリンピックってなんだろう?」そんな基本的な問いかけ(宮﨑あおいのナレーション)で始まり、オリンピックの歴史や、世界のオリンピック資料、世界のトーチ展示、スポーツを疑似体験できるコーナー、パラリンピックの映像、オリンピアンのエピソード、オリンピック関連デザインなど、様々な角度からオリンピック情報をインプットできます。
![オリンピックの歴史が分かるコーナー。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/-/img_9f64929509ca27ca7fa710e600d27b5d134779.jpg)
![日本で開催された歴代オリンピックのチケットやポスター類、日本代表ユニフォームの実物などが展示されている。デザインを眺めるだけでも楽しい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/7/-/img_a73963028c95beee229f0f9e14ef468895372.jpg)
「オリンピックとは?」と問われて大人のスレた心では「利権でしょ」と答えたくなりますが、古代ギリシャのオリンピックの歴史やフランスの教育者がはじめた近代オリンピックの資料を見て、その意識の高さに感じ入りました。
古代オリンピックは、ギリシャで紀元前8世紀に、ゼウス神に捧げるために行われていたそうです。当時は女子禁制で、裸体で競技が行われていました。
![写真左、古代アスリートが使った“汗取りへら”に大興奮!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/-/img_db8313d19d0593cd5f9b20f4f2552ddd62351.jpg)
この展示室には、なんと古代ギリシャで、選手が体についた砂や油や垢、汗などを落とすために使われていたへらの現物が展示されていました。古代アスリートの男性フェロモンの残り香が漂ってきそうです。
2020.01.21(火)
文・漫画=辛酸なめ子
撮影=佐藤 亘