星野佳路(ほしの よしはる)。1960年、長野県軽井沢に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業後、米コーネル大学ホテル経営大学院修士課程に進む。1991年に星野温泉の社長(現・星野リゾート 代表)に就任する。

 若者向けに価格を設定したブランド「BEB」、ハワイへの進出、そして多くの外国人観光客の来日が予想される東京オリンピック・パラリンピックに向けての取り組み──。

 いまの星野リゾートは話題満載で、聞いてみたいこともたくさん。気になるところを、星野佳路代表にうかがった。


旅に出ない若者は、旅行に
何を求めているのか?

BEB5軽井沢。2019年2月に開業。宿泊者全員が35歳以下であれば1室 15,000円、3人なら1人あたり5,000円で宿泊できる「35歳以下エコひいきプラン」で話題を集めた。

 星野リゾートの取り組みでまず注目したいのが、「宿泊者全員が35歳以下なら1室 12,000円、3人で泊まれば1人4,000円」というリーズナブルな価格設定のBEB5土浦が2020年3月19日(木)にオープンすること。

 BEBブランドは、星野リゾート内で、星のや、リゾナーレ、界、OMOに続く5番目のブランド。「居酒屋以上 旅未満 仲間とルーズに過ごすホテル」がコンセプトで、すでに2019年にBEB5軽井沢がオープンしている。

 BEBブランドに力を入れるのは、若い人が旅に出ない傾向にあることへの危機感の表れかと尋ねると、星野佳路代表は「確かに、20代の人たちの旅への参加率は20年前より少し減少しています」と前置きしてから、次のように語った。

「そういう状況に対してインパクトを与えるほどの規模や力が私たちにあるとは思っていません。

 ただ、10年後、20年後の星野リゾートを考えた時に、いまの若い方々に星野リゾートのファンになってほしいという思いはあります。

 将来、結婚して子どもができた時にはリゾナーレや温泉旅館を選択肢に入れてもらえるように、早い段階で楽しい旅を経験していただくことが、BEBブランドをスタートした大きな目的です」

BEB5土浦は2020年3月オープン予定。写真は、パブリックスペース「TAMARIBA」のイメージ画像。BEB5軽井沢では、「TAMARIBA」で仲間とゆったり過ごす方の姿が目立ったという。BEB5土浦は、サイクリングホテルとして、自転車で旅が楽しめる「輪泊」をテーマに据える。

 そして、20代、30代の人々の旅行に関する市場調査を行ったところ、面白い事実がわかったという。

「意外と旅先での出会いは求めていないようですね。有名な観光地への憧れもそれほどないようです。では何がしたいかというと、気の合う仲間と楽しい時間を過ごしたいというニーズが一番大きい。

 居酒屋に行ったり休日に一緒に遊ぶことがそれにあたるわけですが、彼、彼女たちが求めていることと旅は親和性が高いんじゃないかと思いました。旅なら、仲間と一緒に長い時間を過ごせるわけですから」

文=サトータケシ