星のや軽井沢で始まった、とあるアクティビティが人気を博し、京都や竹富島など、星のやの5つの施設でも展開されるようになった。

 そのアクティビティとは、「脱デジタル滞在」。デジタル機器に追われる現代人に、癒しを与える内容だ。


スマホを預けて2泊3日
驚きのアクティビティの誕生経緯

星のや軽井沢の全景。夜は幻想的なライトアップに。

 2005年に開業した星のや軽井沢。谷間の集落をイメージした敷地内の空間は、「西洋の暮らしに迎合しすぎずに、和の文化が熟成を重ねていたら」という仮定に基づいてデザインされている。

 どこかで見たような懐かしさと、見たことのない景色にふれる非日常を同時に感じるのはそのためだろう。

日帰りもできる「星野温泉 トンボの湯」。

 星のや軽井沢で提案しているのが、「現代を休む」滞在だ。宿泊は基本的には2泊から。日常から離れた空間で、時間を忘れて寛ぐというコンセプトだ。

 そして、星のや軽井沢で人気のアクティビティが「脱デジタル滞在」。宿泊者のスマートフォンやタブレット端末は、チェックインと同時に軽井沢彫の美しい文箱に収められる。

デジタル機器を預け入れる文箱。デジタルの存在から意識をそらし、滞在をより印象深い時間へ導く。

 まさに「日常から離れて、時間を忘れて寛ぐ」というコンセプトにぴったりのアクティビティだが、星のや軽井沢の久保紀子さんは、この企画が立ち上がった経緯をこう振り返る。

「2011年頃からスマートフォンを持つお客様が急激に増えました。2013年頃からアメリカでは“デジタル・デトックス”という言葉が流行っていて、日本も状況は同じだったのでトライしてみようということになりました。確か、2014年のサービス内容を検討していた時だったと思います」

一定期間スマホなどのデジタル機器から離れることで、心身ともにリフレッシュし、豊かな感性を取り戻すことが目的だ(写真:星のや富士)。

 2泊3日にわたってスマホを預けてしまうのは不安に感じるけれど、宿泊客の反応はどうだったのだろう?

「最初は仕事の返事ができなくて迷惑をかけるんじゃないか、と不安に思われる方が多いようです。けれども実際に預けてしまうと、“心が落ち着く”とおっしゃる方がほとんど。スマートフォンが手元に戻ってくるとみなさんすぐに電源をお入れになりますが、多くの方が“すぐに返信しないといけないメールって、実は少ないんだな”とおっしゃいます」

文=サトータケシ