大人のなまった体に喝を!
オリンピック競技を疑似体験
そして近代オリンピックは、ピエール・ド・クーベルタンというフランスの教育者によって復興されました(庭園に銅像あり)。スポーツを取り入れることで心身の調和がとれた人間が育ち、それが世界平和につながる、という高尚な理念に基づいているとか。
モットーは「より速く より高く より強く」……自分の怠惰な生活を反省させられます。なまった体に喝を入れるため、競技を疑似体験できる「オリンピックゲームス」コーナーに挑戦。
砲丸や、やり、円盤、ハンマーを持ち上げて重さを体感できるコーナーでは、ハンマーと砲丸が持ち上げられませんでした。
スクリーンの前でジャンプして、アスリートの跳躍力と比べるコーナーでは、目一杯飛んでも女子バレーボール選手より1メートル低く、アスリートの歩幅と比べられるコーナーでは、ボルト選手の1歩が、大股で自分の2歩半でした。
やっぱりオリンピック選手はすごい……とリスペクトの念が高まります。
そして壁一面には世界各国の大量のトーチが並んでいて祭壇のようです。長いトーチがやたら持ちにくそうに見えてしまいますが、広報の方によると長い方が安全に運べるそうでした。
選手何人かの感動エピソードをピックアップした展示コーナーもあり、オリンピックは神話が生まれる場所のようです。スポーツ選手を崇めていかなければ……と、アスリートファースト精神に感化。
展示の最後には「みんなでつくるオリンピック」というオープンマインドなメッセージがありました。誰もがこの一大イベントを応援したりサポートすることで参加できます。体育会系のスクールカースト上位グループに、仲間に入れてもらえた時のような感覚でテンションが高まります。
抽選に落ちても、運動ができなくても、このミュージアムを見学したことでちょっとオリンピックのムーブメントに参加できた感が。今度のオリンピックをもし見逃しても、いつかこのミュージアムでまとめられるので安心です。
日本オリンピックミュージアム
所在地 東京都新宿区霞ヶ丘町4番2号 JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE 1・2F
電話番号 03-6910-5561
開館時間 10:00~17:00
休館日 月曜日(月曜が祝日または休日の場合、翌平日休館)、他、年末年始及び展示替期間等
入館料金 一般500円(2F「EXHIBITION AREA」のみ)
https://japan-olympicmuseum.jp/jp/
辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
東京生まれ。漫画家・エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。『ヨコモレ通信』(文春文庫)『女子校育ち』(ちくまプリマ―新書)『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研プラス)など著書多数。
辛酸なめ子が行く
東京マニアックミュージアム
2020.01.21(火)
文・漫画=辛酸なめ子
撮影=佐藤 亘
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