買ってきたものを
見直してみた
中野坂上のホテルに帰って、やっと正気に戻った。改めて財布を見ると、札入れポケットに北風が吹いている!! なんと恐ろしい街、恐ろしい店。ホストクラブで貢いだ後ってこんな気分なのだろうか。
何、買ったっけ? 自分で自分に問いかけながら、購入した思い出のメモリーを並べてみる。
アグネス・ラムのマグネットは、巨乳好きの友達への土産である。マグネットの種類にはアグネス・チャンもあり、私は、店内でラムとチャンを見比べ、改めて「イメージが全然違うこの2人が同じアグネスという奇跡」にシミジミ感動したものである。
グッズでそれを示してくれたスタッフのセンスに心から拍手を送りたい。私はこの一件を「アグネスの蜃気楼」と名付けた。
そして、なぜこれを買ったのかいまだに謎なのが、アイ・ジョージさんのブロマイドである。いくら死んだ叔父に似ているとはいえ……。
あの空間で、私の思考回路はトワイライトゾーン化していたようだ。
中古レコードは、田原俊彦や松田聖子などのオシャレ系、最近お亡くなりになったショーケンを購入する予定だったが、実際に買ったのは次の4枚であった。
私がレコードを選んだのではない。レコードが私を呼んだのである!
そして、マイ・インスピレーションは正しかった。全曲名曲でした。よかった……。
ディスクユニオン昭和歌謡館、それは新宿のタイムトンネル。
財布の中身が、帰るころには中古レコードやセピア色の思い出に変わっている。
でも、それでいいのよね。「新宿ダダ」もこう歌っているもの。
「人間なんぞは 悲しいものだね わかっているのは死ぬことだけだよ」と。
ならば存分に楽しんで死のうじゃないか。
迷う男と女の吹き溜まり、昭和歌謡という抜けられない沼にハマってさ。
シュビドゥバ、パパパヤ……。
(ディスクユニオン昭和歌謡館ホームページトップ)
https://diskunion.net/shop/ct/showa_kayou
Column
田中稲の勝手に再ブーム
80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。
2020.01.01(水)
文・撮影=田中 稲
撮影=松本輝一
写真=文藝春秋