行体験を終えた自分へのご褒美は
極上の発酵フレンチ

 無事に行体験を終えた2日目の夜は、ご褒美が待っている。

 それは、発酵食を取り入れたフランス料理のディナー。

 なぜ発酵食かといえば、「星野リゾート ロテルド比叡」周辺の近江エリアは発酵に必要な条件が揃い、昔からふんだんに郷土料理に取り入れられてきたからだ。

 「星野リゾート ロテルド比叡」では、地元で天然醸造酢を作り続ける「淡海酢」や、18代続く鮒鮓(ふなずし)の老舗「総本家喜多品老舗」とコラボレーションし、発酵ガストロノミーを実現。

 おいしいうえにヘルシーなら大歓迎。なにより、こんな特別な料理は、ほかではなかなか味わうことができない。

 スペシャリテは、4年熟成の「甘露漬け鮒鮓」を使った一品。通常は1年漬け込むところ、塩漬けを2年、飯漬けを1年、さらに酒粕漬けを1年と、じっくり4年かけることで、鮒鮓特有の酸味を消している。

 鮒鮓のあの臭みを想像しながら恐る恐る口にすると……臭みはいっさいなく、むしろ酒粕の甘みがまろやかで、食べやすい。

 これは行体験を終えて心が広くなったから……ではなく、シェフのアイデアと老舗の味のなせる業。

 発酵フレンチで疲れた身体にご褒美を与えた翌日は、延暦寺・浄土院にある最澄の御廟にお礼参りして旅を終える。

 厄払いはけっして神頼みのものではなく、自分自身の身体を使い、己の心と向き合う特別な時間。

 それは心のウェルネスともいえるものかもしれない。「比叡山厄祓い三昧」からしばらく経った今でも、ずっと心地よさに包まれている。

星野リゾート ロテルド比叡

所在地 京都市左京区比叡山一本杉
電話番号 0570-073-022
https://www.hotel-hiei.jp

芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

Column

ウェルネスを極める 星野リゾートの旅

星野リゾートが今、特に力を入れているのが「ウェルネスな旅」。バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。

2019.09.01(日)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史