■星のやグーグァン(後篇)
国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。
この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。
寝坊なんかしていられない! みずみずしい朝を水の庭で迎える
周囲をぐるりと囲む標高3,000メートル級の山々と、そこにこだまする野鳥の声、豊かな湧き水、この地に昔から暮らすタイヤル族の美しい文化……。
桃源郷を思わせる光景が広がるのは、台湾中部のグーグァン。台湾ではよく知られるこの豊かな温泉地に、「星のやグーグァン」はある。
素晴らしい環境をあますところなく楽しむのなら、温泉地ではゆっくり寝坊する派も、ちょっとだけ早起きをしたい。
毎朝7時半から行われる、気功をベースに深呼吸と軽いストレッチを組み合わせたオリジナルの体操、「氣循森呼吸」は、1日の始まりにふさわしいアクティビティだ。
ちょっと難しくも感じる気功の動きを指導してくれるのは、タイヤル族のスタッフ。
見よう見まねでその動きに倣っていると、だんだん身体が伸びやかに感じられるようになってくるから不思議。深呼吸やストレッチとはまた違った、全身に「氣」が巡るような感覚を実感する。
身体が目覚めた後は、「朝のお目覚め水」を。タイヤル族に親しまれているスパイスとジンジャーを合わせたレモンティーが、心地よく身体に染み渡る。
目覚め始めた身体にエネルギーを与えてくれるのは、ヘルシーな朝食だ。
鶏の出汁で炊いたお粥のほか、茄子の花山椒揚げ、金針菜のお浸し、客家風の焼豚、台湾の伝統的なスイーツ「豆花」と、ゴージャスな内容。
ボリュームはあるけれど、一品一品が、朝にはふさわしい優しい味ばかり。
台湾を旅したことがある人なら、お粥は何度も食べたことがあるだろう。
でも、この味は格別。鶏の出汁でじっくり炊き上げたお粥には、貝柱がたっぷり。そこに乗せる7つの薬味もとにかく絶品だ。
ピータンは臭みがなく、豆腐を麹につけて発酵させた腐乳はコクがあってまろやか。煎ったナッツや桜エビも香ばしくて、朝から食欲旺盛になってしまう。
2020.04.26(日)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史