台北から日帰りできる台湾北部の「基隆」は、抜群においしい海鮮が味わえると評判の港町。
昼から開く夜市や迫力ある廃墟など、記憶に残る一日が過ごせそう。
極彩色がまばゆい漁港の街へ
#01 基隆(keelung)

台北から北へ向かい、潮の香りが濃くなってくると、突如現れるビビッドな建物群。
台湾のベニスとも呼ばれる正濱漁港彩色屋は、カフェやレストラン、住居などの外壁だけを塗り分けた人工的なものなのに、はからずもちょっと気分が上がる景色となっている。
そもそも年間通して8割がたは曇りか雨という基隆では、極彩色の明るさが住人にも歓迎され、遠くの人を引き寄せるパワーがあるのかも。
今や、この景色を写真に収めるためだけに訪れる人も多い、人気の撮影スポットとなっている。
鮮やかな色はここだけではない。基隆廟口夜市のキーカラーである黄色い提灯が通り一帯に連なる姿も壮観。

さまざまな屋台が並び、あれもこれも食べてみたくなる。通りに漂ういい匂いを嗅ぎながら、歩くだけで楽しいイエローグルメストリートだ。
ビビッドな建物群のすぐそばには、大きな灰色の骨組みが鎮座する。

造船所跡が放置されているのにも驚くが、植物があちこちに自生しているコンクリート遺跡のようで、近くに寄って見学するのもいいし、遠くから眺めてもいい。

さまざまな色を愛でながらも、最大の目的は海の幸。


基隆港から届く獲れたての海鮮はやっぱりおいしいと、赤いエビやカニを食べながら満足することになるのだ。
右:「墨汁麵」150元は新鮮なイカが入ると登場する珍品。阿本活海產にて。
正濵漁港彩色屋
(ヂェンビンユーガンツァイホンウー)
所在地 基隆市中正區中正路545號
●台北からの行き方
台北駅から基隆への公共交通手段は、鉄道とバスがあるが、15~25分に1本出ているバスがおすすめ。國光客運の台北車站で1813番線に乗車し、所要時間約50分。
2020.04.17(金)
Photographs=Wataru Sato
Coordination=TOP TAIWAN MEDIA FACTORY
Cooperation=Taiwan Tourism Bureau
CREA 2020年5月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。