■星野リゾート トマム

 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。

 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。

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スキーもスノーボードもしない、贅沢な雪山リゾート

 「星野リゾート トマム」は、約1,000ヘクタールの広大なフィールド内に、ホテルやレストラン、スキー場やファームなどを擁する北海道最大級の滞在型リゾート。

 位置する占冠(しむかっぷ)村は、21世紀の国内最低気温である氷点下35.8度を記録した地としても知られている。

 到着してすぐ目にするのは、その寒さがもたらした、上質のパウダースノー。降り積もったふかふかの雪は、この土地の宝物だ。

 これほどの環境を、スキーヤー、スノーボーダーだけのものにしておくのは惜しい。スキーやスノーボードをしない人でも雪を存分に満喫できるのが、2泊3日の宿泊プラン「雪ガールステイ」だ。

 スイートルームで迎えてくれるのは、雪や氷をテーマにしたアイテムや仕掛け。客室でのチェックイン時に用意されるウエルカムドリンクにも、サプライズが隠されている。

 エディブルフラワーを包んだ氷に温かい紅茶を注ぐと花の香りがいっぱいに広がるティータイムで、一気にリゾート気分に。

 どんなにラグジュアリーな場所でも、雪山は用意する衣類が多いから大変! という人も、心配ご無用。

 このプランには、雪山でも安心して遊べる防寒性抜群のアウターやスノーブーツ、手袋などが用意されているのだ。

 雪山に行くのに荷物が軽くて済むのは、本当にラクチンだし経済的。

 2泊3日のこのプランでは、「雪ディナー」も目玉のひとつ。トマムの自然を再現した特別なコース料理だ。

 アンティパストは、カリフラワーのピュレとカラフルな10種類の野菜で、初雪が大地に降り積もる様子を表現。

 続くウニとトマトのパスタは、食べる直前にかけるチーズが、しんしんと降り続ける雪を髣髴とさせる。

 メインの魚料理は、白身魚に生姜をきかせた白ワインのソースと昆布出汁の泡が、大地に広がる雪のよう。

 牛肉をパイ包みにしてぎゅっと旨みを閉じ込めた肉料理は、降り続ける雪をイメージしたトリュフパウダーの香りに、ますます食欲を誘われる。

 ドルチェは、ローズマリーのブランマンジェに木苺や苺を添えて、冬から春へと季節が変わる様子をみごとに表現。

 料理が運ばれてくるたびに思い出されるのは、ここへ来る途中で車窓から眺めた、神秘的で豊かな雪景色だ。

 目と舌でディナーを味わった後は、部屋の展望ジェットバスでゆっくりとくつろいで。ローレル、ローズマリー、ローズピンクを入れたお湯は香りが優雅で、窓の外の雪景色はとてもロマンチック。

 この日の夜は、きっと心地よい眠りにつけるはず。

2020.02.23(日)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵