客家とタイヤル族の文化が息づくノスタルジックな温泉街をぶらり散策

 古くからタイヤル族が暮らし、今から100年ほど前に温泉が開かれたというグーグァン。そのローカルな雰囲気にも触れておきたい。

 「星のやグーグァン」からメインストリートまで、のんびり歩いて20分ほど。眺めのいい吊り橋を渡り、ダイナミックな渓谷美に歓声を上げながら歩けば、すっかりハイキング気分だ。

 懐かしさを覚えるのは、日本統治時代に整備された温泉郷の面影を残す通り。

 かと思えば、色鮮やかな道教の寺院や、台湾名物の煮卵「茶葉蛋(チャーイエダン)」を売る路地もあって、なんだか迷路を歩いているようでワクワクする。

 お腹が空いたら、温泉街のローカル食堂で、グーグァン名物、客家料理のランチを。

 山で獲れる野菜、山猫(サンマウ)との炒めものや川エビの唐揚げ、バジリコの入った卵焼きななど、ちょっと塩分がきいた家庭料理は、素朴でおいしい。

 お腹を満たしたら、トレッキングに挑戦してみるのもまた一興。

 「星のやグーグァン」の裏手には有名なトレッキングコースもあり、全部歩くと約1時間半。汗を流して、温泉を楽しんで、おいしい夕飯を食べるにはちょうどいい運動量だ。

 「星のやグーグァン」に戻ったら、何はともあれ温泉! 歩きまわった後の名湯は心身にじんわりと染み入り、お肌をしっとりと潤わせる。森を眺める半露天風呂は気持ちがよくて、極楽そのもの。

 タイヤル族が自然を大切に守りながら暮らしてきた安息の地、グーグァン。いつもの温泉、いつもの旅行もいいけれど、たまには異国での温泉逗留も、心を豊かにしてくれる。

星のやグーグァン

所在地 台湾台中市和平区博愛里東關路一段温泉巷16号
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
https://hoshinoya.com/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

Column

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2020.04.26(日)
文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史