グランメゾン出身者の真骨頂
あの逸品にかぶりつく!
炸子鶏(鶏の姿揚げ)は、龍崗鶏(ロンコンガイ)と呼ばれる種類のメスの若鶏を使用。
何十回も油をかけ、じっくりと時間をかけながら焼き上げる。皮のパリッとした食感、ジューシーな肉、どこをとっても間違いなしの味。
鼓油鳩(鳩の醤油煮込み)。ひとりにつき半羽がやってくる。
多いかな? と感じたのはほんの一瞬。絶妙なタレの味、火の通り具合。
まるで蟹料理店にいるかのように、みんなもくもくとかぶりついてしまった。
鹹魚肉餅が登場! 肉餅は、簡単にいうと中華風ハンバーグ。鹹魚(ハムユイ)という、発酵させた干し魚とともに蒸し上げる。
この鹹魚がまた上物だ。こうなるとほしいのがごはん。ジャスミンライスに肉と汁を掛けまくれば、箸が止まらない。
またもサウスな一品が運ばれてきた。
ピリ辛好きにはたまらない、牛肉ガパオ。オリーブが入り、香り高く仕上がっている。
と、私には珍しく野菜に感激しているところに、油菜。
広東白菜とアスパラガス。上質な上湯とともに炒めてある。
グランメゾン出身の成せる業、そして、それに負けぬほどの野菜の力強さよ。
〆の鹹魚炒飯にもしびれた。米のひと粒ひと粒に卵がコーティングされ、塩味のバランスもばっちり。
お腹がいっぱいなのに、もうひとくちもうひとくち、と、あっという間に皿は空になってしまった。
甜品は杏仁豆腐。北杏と南杏を使った本格的な杏仁豆腐だ。
なめらかな口当たり。甜品は別腹中の別腹である私にとっては、バケツいっぱい食べたいほどのおいしさだ。
東京の中国料理界に新しい風が吹いた。
「まだまだ始まったばかり。これからどんどんブラッシュアップしていきますよ」という菊地先生。
30年前のあの日、私を釘づけにした写真集が蘇る。そして、期待はますます高まっていく。
SOUTH LAB 南方
(サウスラボみなかた)
所在地 東京都墨田区錦糸3-7-3 オフィスナカジマビル1階
電話番号 03-6658-5299
営業時間 18:00~22:00 L.O./土曜12:00~21:00 L.O./日曜12:00~20:00 L.O.
定休日 月曜
予算 6,500円、8,000円、10,000円
[2019年6月訪問]
Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。
Column
新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り
ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!
2019.06.17(月)
文・撮影=Keiko Spice