監督によって
感情を解放されたデビュー作

――その後、ロサンゼルスに短期留学した後、事務所に所属し、俳優活動を始められます。

 ご縁があった事務所に所属したのですが、僕はタレントになりたかったわけでも、アイドルになりたかったわけでもないんです。役者になりたい。そして、誰にも負けたくないという覚悟を持っていたこともあって、役者さんだけが所属する事務所で、この先、頑張っていこうと決意しました。

――そして、17年にデビュー作『心が叫びたがってるんだ。』が公開されます。ただ、撮影順でいえば前年16年秋に撮影した『菊とギロチン』(18年公開)が先なんですね。

 何の経験もないまま、瀬々敬久監督とお会いして、『菊とギロチン』のオーディションを受けたんですが、出演が決まったときは不安の方が大きかったです。映画を観ることで演技のインプットの仕方は分かっていても、アウトプットの仕方が分からない。最初はそこで悩みましたし、まったく感情的な芝居ができないということで、瀬々さんにシゴかれました。しかも、当時の僕はあまり相手の目を見て話すことができなかったので、そういう初歩的なことから徹底的に叩きこまれました。決して辞めたいとは思いませんでしたし、結果的に瀬々さんに感情を解放され、フックを外してもらいました。

2019.02.22(金)
文=くれい響
写真=榎本麻美
ヘア&メイク=升水彩香
スタイリスト=越中春貴(Rim)