1980年代から1990年代にかけて流行した「セーターブック(SB)」を覚えていますか? 編み図と共に人気モデルや駆け出しの若手俳優が鮮やかで個性的なセーターを身にまとった写真実用書です。青春のほの甘い記憶と共に、SB愛好会の3人が今振り返ります!
寒い夜だから……
DO “KNIT” YOURSELF
SB(セーターブック)。手編みセーターがプレゼントの主流だった昭和の時代、俳優やモデルがひたすらセーターを着用し「彼に手編みのセーターをプレゼントしよう」というコンセプトのもと、発売されていた「手作りセーター」の本だ。
前半はセーター着用のグラビア(本によってはやや恥ずかしめのポエム付き)、後半はしっかりとした編み図が掲載されているのが基本的なSBのスタイル。
そう、愛に溢れた素敵な実用書なのである。よく見ると「今をトキめくあの人が!」みたいなお宝だって発掘できる。
しかしながら平成になり、いつのまにやらSBは書店から姿を消してしまい、目にすることもなくなった。
そりゃ手編みは重い(物質的な重さも、気持ち的にも)。こちらが気づかぬうちに、あっという間に消えてしまった。
手作りセーター本は今も出版されているが、俳優やモデルの名前が付いたものはなし(※2019年1月現在)。もっとお洒落で洗練されたものに進化している。
そのことに気づいた私、分類担当のハルナは、今からおよそ10年前、このSBの表紙をひたすら集めるようになり、2008年10月、mixiに「平成のセーターブック」というコミュニティを作る。
ネットでSB表紙画像を拾っては、五十音に分類しひたすらmixiに画像を貼る、という、一般的な目からしたら少し気がふれた活動をしていたのだが、こんなけったいな趣味に同調してくれたコミュニティの構成員たちと約10年の時を経て、平成最後の冬に再度、SBについて見つめ直す機会がやってきた。人生、何があるかわからぬものだ。
ちなみに2008年に作られたmixiのコミュニティは現在ではほぼ放置の状態であり、コミュニティのイメージ画像も当時のまま。
くしくも、イメージ画像は羽賀研二(逮捕前)のSB表紙であり、その事実に気づいたのが、再逮捕当日だったことにも、SBと我々の運命を強く感じずにはいられない。
そのコミュニティに綴っていたフレーズをここに転記しておく。
「セーターが好きな人も俳優が好きな人も
暖炉が好きな人も、カウチンしか愛せない人も。
10月25日。 そんなワタシのセーター記念日。」
どうやら10月25日を「セーター記念日」に制定していた模様。勝手過ぎる。
写真集気分
安心価格のSB(セーターブック)
私とSBとの出会い。それは平成の初頭(1990年代)まで遡る。
とても個人的な話になってしまうのだが、高校時代に当時大好きだった筒井道隆のセーターブック『セーターが似合う彼だから』を地元の書店で手にしたのがマイファーストSB。
当時はまだ、映画と何本かのドラマにしか出ていなかった筒井クン(ちなみにSBでは、基本的にモデルや俳優を“クン”呼びなのでここもカタカナ表記にしてみた)がたくさん出ている! と、写真集気分で手にした記憶が。
SBはお財布にも優しく、高校生のお小遣いでも購入できる安心価格。こっそりと購入し、実家の自室でこっそりと眺めていた。その当時もセーターなど編む気はさらさらなかったのだが。
2019.02.05(火)
構成=水野春奈
撮影=平松市聖