自身の集大成となった
監督最新作『チワワちゃん』
――『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』には高橋一生さんが出演、また「Echo」などDEAN FUJIOKAさんのMVも監督されています。
高橋さんは僕の作品に力を貸してくださいました。DEANさんの作品には、僕が力添えさせていただいているように、お二人とはいいご縁があったと思っています。お二人とも、全然違うタイプの方ですし、またご一緒させていただければ嬉しいですね。
――監督最新作である『チワワちゃん』は、岡崎京子さんの原作を現代風に脚色。門脇麦や成田凌など、旬の若手俳優たちの共演も見どころですが、全編に渡って二宮監督のセンスに溢れています。
4年ほど前に原作に出会ったんですが、そのときに自分が胸張って、「この原作を映画化したい!」と思える喜びがありました。そして、これを「20代のうちに作る!」という目標を掲げたんです。だからこそ、26歳で撮れた達成感は大きいですし、「僕の映画とは?」というものの現状での集大成になったと思います。そして、余計な自意識を捨てて、自分が目指していた映画に向かっていける自信もつきました。
――今後、どのような監督を目指していきたいと思いますか?
これからどんどん若い監督も出てくるでしょうし、年齢に対する自意識みたいなものも、そろそろ捨てていかなきゃいけないと思っています。そして、最終的には『SLUM-POLIS』のような世界観のエンタメに戻ってきたい気持ちが強いんです。さっき、お話しした自分と日本映画界とのズレみたいなものは、知れば知るほど、分からなくなっています。でも、シンプルに、自分が面白いと思うものを作り続けていくしかないし、もしそれが受け入れられなくなったら、別のところで映像を作るしかないとは思っています。
二宮健(にのみや けん)
1991年12月17日生まれ。大阪府出身。10代から映画制作をはじめ、2015年に大阪芸大の卒業制作として発表された『SLUM-POLIS』が国内外の映画祭で話題を呼び、全国で劇場公開される。17年、原案・監督・脚本を務め、桜井ユキ・高橋一生出演『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』で商業映画デビュー。DEAN FUJIOKA、BiSHらのMVを監督するなど、ジャンルを超えた映像制作を行っている。
『チワワちゃん』
ある若者グループのマスコット的存在で、読者モデルとして人気だった「チワワ」と呼ばれていた女性(吉田志織)が、バラバラ遺体となって東京湾で発見される。彼女の親友・ミキ(門脇麦)や元彼・ヨシダ(成田凌)など、残された仲間たちは、それぞれがチワワとの思い出を語り出す。だが、そこで明らかになったのは、チワワの本名や境遇を誰も知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたということだった。
2019年1月18日(金)より全国公開
https://chiwawa-movie.jp/
(C)2019「チワワちゃん」製作委員会
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2019.01.11(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘