本屋さんは、普段出合えない世界を教えてくれるワンダーランド。読書が好きな門脇麦さんといっしょに、とっておきの本を探してきました。
私にとって読書は、日常を離れて物語の世界に浸る時間。どっぷりと浸かりたいので、まとまった時間をとり、家でひたすら集中して読みます。
読むスピードも割と速く、普通の文庫本なら2時間、厚いものでも3時間あれば読破します。
『ピーター・パン』とか『ナルニア国物語』とか、子どものころから非日常に飛べる「物語」が好きでした。
歴史小説を読むようになったのは父の影響です。うちの家族はみんな本好きで、実家に帰るとそれぞれのおすすめ本がテーブルの上に置いてあるんです(笑)。
歴史小説は登場人物が覚えられなそうで苦手意識があったのですが、何度も出てくるので自然に人間関係も見えてきますし、細かいことは気にせずにとにかく読み進めます。
国を動かすという大きな事柄と対峙した人間の物語は、現代の冒険譚には追いつけない壮大さがあります。
今日紹介するのは、歴史小説のなかでもちょっと異色。
白石一郎さんの『海狼伝』は、村上海賊が出てきたりして、劇画チックなところもあり、戦国時代の胸躍る、まさに大人の冒険ストーリー。
垣根涼介さんの『光秀の定理』のほうは、光秀が様々な人の視点から語られていて、哲学的なところもあってとても面白いです。文章もそれほど硬くなく、読み進めやすい点もいいなと思います。
機会があったら、哲学や心理学を勉強したいと思っていたくらい哲学書にも興味があります。
『老子』は、なかでも自分が大切にしたい感覚が詰まっている1冊です。
(A)『海狼伝』白石一郎
時は戦国。村上海賊に捕まった少年・笛太郎は、能島小金吾という銭勘定に敏い変わり者に育てられることになる。笛太郎の成長物語を主軸に描いた、胸躍る、迫力満点の海洋活劇冒険小説。第97回直木賞受賞作品。
文春文庫 940円
(B)『光秀の定理』垣根涼介
永禄3年春の京。腹をすかした新九郎は、賭けを路上で行う怪しい坊主・愚息に出会う。そこへ、十兵衛と名乗る落ちぶれた武士が現れる。その本性は明智光秀だった。3人の男の出会いが、歴史の流れを形づくっていく。
角川文庫 760円
(C)『老子』老子 著 蜂屋邦夫 訳注
「有名ですが、なかでも『上善は水の若し』が好きです。書かれている内容は学校の道徳の授業で習うようなものですが、文章で読むと、さらに深く記憶される気がします」。漢詩のほか、現代訳、注釈付き。
岩波文庫 1,130円
2018.10.06(土)
Text=Tomoko Kurose
Photographs=Shota Matsumoto
Styling=Junko Okamoto
Hair & make-up=Naoki Ishikawa
Thanks to=青山ブックセンター本店