ソウェト地区をサイクリング
マンデラが長く暮らしていたのは、南アフリカ最大のタウンシップ、ソウェト地区だ。
「タウンシップ」というのは、アパルトヘイト時代、非白人を強制的に隔離し住まわせていた居住区のこと。現在、ソウェトは現地の人と触れ合えるスポットとして、観光客もじわじわと増えている。
ソウェトを訪問するツアーも開催されていて、私も以前に何度か参加したことがある。
けっして物見遊山的なものではないそのツアーは、この国を大好きになるきっかけにもなった。ともすれば隠してしまいたい過去の悲しい歴史を、今を生きる人たちに示していく姿に、圧倒的な底力を感じたからだ。
今回の旅では、ソウェトを自転車でめぐるツアー、「ソウェト・バイシクル・ツアー」に参加することに。ホステルの「Lebo's Soweto Backpackers」が主催するもので、ガイドは生粋のソウェトっ子だ。
自転車に乗る前に、地区内のレストランで腹ごしらえ。アウトドアのシンプルなブッフェレストランながら、南アフリカの郷土料理「ポイキーコース」は想像以上のおいしさだった。
これは17世紀にオランダ人が持ち込んだ料理で、鍋のなかで野菜や肉を煮込むシチューのようなもの。臭みのないラムは何度もお代わりをしてしまった。
お腹が満たされたら、いざソウェトへ! 安全面にも十分に配慮され、グループの前後にガイドが付き、事故なく走れるように常に気を配ってくれる。
彼らは道すがら、自転車を止めてはいろいろな話をしてくれた。街の歴史、習慣、幼い頃の思い出話……。博物館を巡るだけでは知ることのない、リアルな南アフリカが見えてきてワクワクする。
2018.10.30(火)
文・撮影=芹澤和美