途中で立ち寄ったリゾート都市
ダーバンでのサプライズ
![ダーバンではズールー族の一般家庭を訪問。エモーショナルなダンスで歓迎してくれた。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/-/img_5998e8a0cc09a0209d393fac4132486b245499.jpg)
この旅では、あたりにはなにもない田舎道にも立ち寄った。クワズールー・ナタール州の「ネルソン・マンデラ・キャプチャー・サイト」はその名のとおり、1962年、運転手に変装して車を運転していたマンデラが警察に捕まった場所。
![キャプチャー・サイトにある記念碑。遠くから眺めると鉄柱が無造作に立っているようにしか見えないが、近寄ると、柱が重なりあってマンデラの顔が浮かび上がる。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/-/img_881b67ddc625bdfb289619f5925aabb1285514.jpg)
現在はマンデラが逮捕された場所として、観光名所になっている。芸術家、マルコ・チャンファネリによる鉄の棒50本でマンデラの顔を描写した記念碑は、田舎道の名物だ。
![弧を描くビーチ沿いにホテルが並ぶダーバン。朝の散策途中、漁から帰る船に出会った。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/f/-/img_cf1192c810c7979a6e9713b5d8bd035c180961.jpg)
キャプチャー・サイトへの起点となるのは、大都会のダーバン。海岸沿いに大型のホテルやカジノが並ぶ、洗練されたリゾート都市だ。さらさらの砂浜にインド洋の温かい海水が打ち寄せるビーチはとてもフォトジェニック。
ダーバンで私が楽しみにしていたのはズールー族のファミリー訪問だ。けっしてものすごくマニアックな旅ではなく、現地の旅行会社を通じてアレンジできる。これも観光立国、南アフリカならでは。
![ズールー族の家庭で食べられている一般的な料理。ちょっと日本の煮物にも似ている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63ea13b019f1ef96cf4e766db2b0da90297216.jpg)
郊外のお宅を訪ねると、温かな料理を用意して待っていてくれた。豆、芋、ほうれん草、チキンと、食材は日本でもお馴染みのものが多く、味もとてもマイルド。遠い南アフリカのズールー族の家で食べる料理は、案外、和食にも似ていた。
![最初に挨拶をしたときは大人しかったお母さんが、ダンスになると激しく踊り出したのにはびっくり!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/a/-/img_fa36397579dd35436339a043fc3274d3237387.jpg)
優しい料理の後に用意されていたのは、ズールー族の伝統的なダンス。キッチンで黙々と料理をしていたお母さんも衣装に着替えて、エモーショナルな動きを披露してくれた。
楽器は空き缶やダンボールを工夫して作った使ったお手製なのだが、これがみごとな音色。
![「サンゴマ」でもある娘さん。おしゃべり好きな彼女も、専用の部屋に入ると、真剣な表情に。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/-/img_00a3e516c87f5ca64590fc211fc7ef83204209.jpg)
ちなみに、近くに住む娘さんは、「サンゴマ」でもある。
これは、ご先祖様とコンタクトをとれる、いわばイタコのような、ユタのような人。離れには専用の建物があって、ここでときどき、依頼者のご先祖様と対話をし、いろいろな問題を解決しているのだとか。
多才でもてなし好き、そしてチャーミングなファミリーに出会えたことは、この旅のいい思い出だ。
南アフリカには、ヨーロッパ系、アジア系、白人と非白人のミックス、ズールー族にコサ族など、多くの民族が存在する。そんな自国をマンデラは「レインボーネーション」と呼んだ。
「異なる色が重なり輝く虹のごとく、多数の人種が融和する国」というその意味を、この旅で心から実感した気がする。
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Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
2018.10.30(火)
文・撮影=芹澤和美