子どもたちの挨拶の嵐に
迎えられて
![ソウェトは、多くの政治的リーダーを生んだ場所として知られる、もっとも有名なタウンシップ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/-/img_d6bb5eaf90b8a7edd394f31c440c805f340427.jpg)
知られざる南アフリカに、ちょっと興奮しながら自転車で疾走する私たちを迎えてくれたのは、子どもたちによる挨拶の嵐。
ちょうど下校時間帯だったのか、小学生から高校生までたくさんの子どもたちが道を歩いている。すれ違うたびに「ハーイ!」「ジャパン!」と声をかけてくれる子もいれば、ハイタッチをしようと駆け寄ってくる子もいて、こちらが照れくさくなってしまうほど。
ここに住む人たちも、観光の経済効果をちゃんと分かって、歓迎してくれているのかもしれない。
![「マンデラ・ハウス」。小さなこの家に、後に一国を変えるリーダーが暮らしていた。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/-/img_db3e939614428342e78affbda3aaeec8224191.jpg)
このツアーでは、マンデラゆかりのスポットにも立ち寄る。そのひとつが、現在はミュージアムになっている「マンデラ・ハウス」と呼ばれる旧宅だ。
マンデラは1946年から長期投獄される直前の1962年まで、当時の家族とここで暮らしていた。家具や生活道具、思い出の写真が飾られていて、本当にお宅にお邪魔しているみたい。
![「マンデラ・ハウス」の敷地には、2番目の奥さんにして同じく政治家である、ウィニーの写真を使った像も。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/-/img_8791db3bfef42e5b3e5fb0ec29e2931d395887.jpg)
マンデラ・ハウスが立つのは、フィラカジストリート。ここは世界で唯一、二人のノーベル賞受賞者を輩出した道。一人は言わずと知れたネルソン・マンデラ、もう一人は、反アパルトヘイト活動を行なったデズモンド・ツツ大司教だ。
一帯はちょっとした観光地となっていて、お土産を売る屋台やパフォーマーの姿も。
![フィラカジストリート。ノーベル平和賞受賞者を輩出した有名な通りを自転車で疾走。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/-/img_d500fd8b541a35081adcbdeb75887979434313.jpg)
そんな賑やかな観光ムードのなかにあるのが、ここからすぐ近くの「ヘクター・ピーターソン博物館」。
ヘクター・ピーターソンというのは、1976年のソウェト蜂起(市民による大規模な反アパルトヘイト暴動)の際、警察の発砲で亡くなった13歳の少年の名だ。彼の写真が世界に出回ったことで、各国からのアパルトヘイト批判の声が一気に高まったと言われている。
![車窓から見るよりもぐっと近い自転車の目線。途中、駄菓子屋に立ち寄っておやつを購入。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/-/img_f6f36b98fdd192fdca208fed1c3787c7371339.jpg)
暗い過去も、現在も、あますところなく見せてくれる「ソウェト・バイシクル・ツアー」。もちろん、これで南アフリカのすべてを理解することはできないけれど、人々の暮らしの中に入っていくアクティビティーはとても新鮮。
なにより、フレンドリーな人々や、質問に真剣に答えてくれるガイドの姿勢に、ますますこの国が好きになった。
Soweto Bicycle Tours
(ソウェト・バイシクル・ツアー)
2018.10.30(火)
文・撮影=芹澤和美