山小屋のイメージをくつがえす
贅沢なステイ

 大部屋でほかの登山者と雑魚寝、食事はカレーとうどん、トイレも不安……という山小屋の概念を覆すのも、「グラマラス富士登山」のポイントだ。

 「東洋館」では1組1室の貸切利用となるため、プライバシーが保たれる。さらに、「星のや富士」と同じリネンでベッドメイキングされたマットレスや部屋着も。無料のWi-Fiサービスやコンセントもあるので、携帯電話の充電もできるし、富士登山の感動をすぐにSNSで発信することも可能だ。

 もちろん、お風呂はないけれど、クレンジングや化粧水、乳液などのアメニティを完備。これは少しでも荷物を減らしたい富士登山にはありがたい。別棟にあるトイレは清潔で、まったく抵抗なく利用することができた。

 夕食も一般的な山小屋のものとは大きく異なる。テーブルに並ぶのは、チーズや生ハムを盛った前菜と、「星のや富士」が監修するビーフシチューと山梨県産ワイン。体力を使った後はなおのこと、温かくおいしいものが染み入る。

 食事を楽しみ、夜は満天の星を仰いで、寝心地のいいマットレスにもぐりこんだら、あっという間に夢のなかへ。

 翌朝のご来光観賞は「東洋館」のすぐ前で。海抜約3,000メートルの高さにあるこの山小屋は、八合目に近く、山頂まで行かなくても十分に絶景を眺めることができる。

 山頂の日の出も素晴らしいのだろうけれど、混雑しているし、夜中の登山も不安。ビギナーには、無理のないスケジュールが本当にありがたかった。

2018.09.30(日)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵