富士登山をさらに豊かなものにする
リゾートでの時間

 「グラマラス富士登山」のスケジュールは2通り。ひとつは、「星のや富士」に前泊し、翌日に富士山を目指すコース、もうひとつは富士山から下山後に「星のや富士」に後泊するコースだ。前泊、後泊それぞれに、富士登山をサポートするアクティビティが提供される。

 前泊コースでは、北口本宮冨士浅間神社を参拝し、登山の安全を祈願する。ここは、1900年以上の歴史を持つ、富士登山道の入り口でもある。

 かつては修験者たちの修行の場だった富士登山が、「富士講(信仰による参詣登山)」として一般人に広まった江戸時代後期、そして大ブームとなった今日にいたるまで、富士山が持つ歴史に触れるのも「グラマラス富士登山」の特徴だ。

 ただ身体を動かし爽快な気分を味わったり、絶景を楽しんだりするだけではなく、知的好奇心も満たしてくれる。

 参拝の後は、「星のや富士」に戻って行動食づくり。行動食というのは、登山に携行する食料のこと。材料はチョコレートやナッツ、ドライフルーツ、シリアル、キャラメルなど。

 「カロリーが高いものばかり!」と一瞬ひるんでしまうが、長丁場の富士登山にこまめなエネルギー補給は必須。一般的には味気ない行動食を、こうして自分で作るのも楽しい。

 いよいよ富士登山を直前にして、ぶり返す不安を一掃してくれるのが、「富士山登山学校ごうりき」のガイド、近藤光一さんによるレクチャーと装備のチェックだ。

 靴をレンタルしている場合はサイズに問題がないか、体調は万全か、翌日の天候などを再度、ここで確認する。近藤さんと話して安心した後は、寝心地のいいベッドで眠り、あとは出発を待つだけ!

 もちろん、後泊の場合も、直前のレクチャーはしっかりと行なわれる。後泊パターンのスペシャルは、登山でパンパンにむくんだ脚のトリートメント。先に泊まるか、後に泊まるかは、好みやスケジュールしだいだ。

2018.09.30(日)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵