俳優業を再開するための
大学受験
――高校時代から上京するという選択もあったのでは?
僕自身、地元の高校にはしっかり行きたいという気持ちが強かったからです。だから、平日は普通に高校へ行っていて、金曜の夜に夜行バスに乗って、土曜の朝に東京に来て、日曜の夜に夜行バスに乗って、月曜の朝に愛知に着いて学校に行く、という生活でした。今思い返すとよく頑張っていたなと思うんですが、すべてが新鮮だったんでしょうね。大学受験は、人生でいちばん勉強しましたね。別に勉強が好きだったわけではないですが、ご飯食べながら参考書を読んでましたし、それを見た親が心配していたほど(笑)。真剣に「受験勉強を頑張れなきゃ、芸能界も頑張れないでしょ?」と思っていました。
――その後、大学進学のため、上京し、俳優業を再開されますが、転機となった作品を教えてください。
今、映画やドラマのお話をいただけるのは、上京して初の連続ドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」(2016年)に出演させていただいたことが大きかったと思います。上京して慣れない環境の中、菅野美穂さんや松嶋菜々子さんといった名だたる俳優さんの中で、かなり重要な役を演じなければいけないプレッシャーがありましたから。しかも、役柄的にも裏表のある難しい役で、監督さんから怒られたりもして、いろいろ悩みましたし、いい勉強にもなりました。
~次回は、現在公開中の主演映画『青夏 きみに恋した30日』についても語っていただきます~
佐野勇斗(さの はやと)
1998年3月23日生まれ。愛知県出身。15年公開の『くちびるに歌を』で俳優デビューし、同年ボーカルダンスユニットM!LKのメンバーとしてCDデビュー。以降、ドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」のほか、『ちはやふる -結び-』などに出演。公開待機作に『3D彼女 リアルガール』(9月14日公開)、『走れ!T校バスケット部』(11月3日公開)、『凜』(18年度公開)などがある。
『青夏 きみに恋した30日』
運命の恋を夢見る都会育ちの女子高生・理緒(葵わかな)は、大自然の広がる田舎で夏休みを過ごす。地元の男子高校生・吟蔵(佐野勇斗)と出会った理緒は、一見クールだが、優しい彼に心を奪われるが、あっさりフラれてしまう。その後、理緒に思いを寄せる祐真が東京から会いにやって来る。
http://aonatsu.jp/
2018年8月1日より全国公開
(C)2018 映画「青夏」製作委員会
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2018.08.01(水)
文=くれい響
撮影=松本輝一
ヘアメイク=中島愛貴(ラフテル)
スタイリスト=伊藤省吾(シトル)