不完全燃焼からのリベンジ

――翌08年に「ジュノンスーパーボーイコンテスト」に応募されるわけですが、そのときの想いは、前年にオーディションを受けたときと変わっていたのでしょうか?

 前のオーディションで何万人のうちの数名に選ばれ、決勝大会で東京に行ったけど、結果は何も出せず帰ってきた。「なんだったんだ、あの時間は……」と、どこか不完全燃焼のように感じながら、高校生活が始まったんです。それで、高校生になって新しく何かを始めてみたくて、先輩たちの情熱への憧れから、アメリカンフットボールを始めました。

 でも一方で、当時放送されていた「ごくせん(第3シリーズ)」の生徒役の半分近くがジュノンボーイ出身ということを知って、おかんが「これ(ジュノンボーイコンテスト)、受けてみたらいいんちゃう?」と言ってくれたのをきっかけに、自薦であるようで自薦でないような感じで、先のことは何も考えずに履歴書を送ってみたんです。

――そのファイナリスト選出を経て、09年9月から放送の「仮面ライダーW」のフィリップに抜擢されるわけですが、連続テレビドラマ初出演にして初主演。話が決まったときの気持ちは?

 あまりにリアリティがなさすぎて、絶対に事務所の人にダマされているんだろう、と思ってました(笑)。高2の4月からの事務所への正式所属を前に、春休みは実家に戻っていたんです。ちょうど寝ていたときに「仮面ライダーに決まったよ」という電話が事務所からかかってきたんで、「有り難うございます」と言って、また寝たんです。もう一度目覚めたときは「合格した夢を見た!」と思ってしまったほど。当時は普通に高校に行って、部活をしてという毎日だったので、いきなりそんなことが起こることが信じられなかったですし、下の弟さえも信じてくれませんでしたから(笑)。

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2012.09.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Shigeki Yamamoto