すべてを学んだ、ひとつのハードル
――今後も菅田さんのキャリアを語るうえで、「仮面ライダーW」は外せない作品になってくると思いますが……。
とても有り難いことです。当時16歳の僕にとっては、共演者の漣くんよりもライダーを見ている子供たちの年齢の方が近かったんですよ。そんな僕がヒーローになれているのかな、という心配も強かったんですが、「フィリップ好きだよ」とか「ライダーのカッコいいお兄ちゃん」とか言ってもらえると、自分が作ったものを他人に認めてもらえてるんだとうれしかったし、誇りに思える時間でした。なんて幸せなスタートを切れたんだろうと思いました。今後、30、40、50歳と年齢を重ねても、この仕事を続けていくうえでプロフィールのいちばん最初にくる作品ですし、それを噛みしめてやっていきたいですね。
――お芝居に関する考え方も、このとき大きく変わったといえますか?
普通の新人俳優だったら、あらかじめレッスンやワークショップで学ぶのかもしれませんが、僕は現場で学ぶしかなかった。それも「仮面ライダー」というキャラクターを通して、あんなに時間をかけてお芝居を学べたのは貴重だと思います。キャラクター作りや、お芝居、人間関係の作り方は、今も十分に仕事に活かされていると思います。
「ライダー」は間違いなく自分の中で、ひとつのハードルになった作品です。自分のなかで、常に超えるべきものだし、どこか不安になったときに助けになってくれる存在。そういう意味では、「伝説の時間」になっていますね。
~次回更新分の(2)では、菅田さん初主演映画となる『王様とボク』のほか、これまでの出演作について、たっぷり語ってもらいます~
菅田将暉 (すだ・まさき)
1993年2月21日生まれ。大阪府出身。A型。2008年にジュノンスーパーボーイコンテストのファイナリストに選出。09年「仮面ライダーW」に史上最年少ライダーとして抜擢される。11年『高校デビュー』で本格的に映画デビューし、『王様とボク』が初主演となる。現在、ドラマ「サマーレスキュー~天空の診療所~」に出演中。来夏には、人間の暴力と性の衝動を描いた田中慎弥の芥川賞受賞作の映画化『共喰い』(青山真治監督)で、主人公・篠垣遠馬を演じることが決まっている。
『王様とボク』
18歳の誕生日の夜に恋人キエ(二階堂ふみ)と結ばれたミキヒコ(松坂桃李)は、幼いころ事故に遭って以来眠った状態が続いている同級生モリオのことを思い出す。その後、モリオ(菅田将暉)は12年ぶりに目を覚ますが、心は事故当時の6歳のままだった……。
www.o-boku.com
(C) 2012「王様とボク」製作委員会
9月22日(土)より、ユナイテッド・シネマ、シネマート他、全国順次公開!
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2012.09.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Shigeki Yamamoto