「仮面ライダーW」オーディション秘話
――話は前後しますが、「ライダー」のオーディションが、俳優としての仕事を得た最初のオーディションだったんですよね?
そうです。春休みに東京へ来たときに、マネージャーと2人で、いろいろなTV局や雑誌の編集部にご挨拶に行ったんです。まだ、「菅田将暉」の芸名が付く前です。そのとき、銀座の東映本社に行くということになったんですが、たまたまライダーのプロデューサーとお会いできて、「明日のオーディション来れる?」という話になって……。でも、オーディション会場に行くと、背が高くて、マッチョな“ザ・仮面ライダー”というような人ばかりで、「僕、ここに来ちゃいけないんじゃないですか?」と本気でマネージャーに言ったぐらい場違いだと感じました。人前でお芝居するのも初めてで、恥ずかしくて赤面状態。絶対に落ちたと思いました。
――その後、16歳で単身上京し、1年間ドラマの主演を務めるわけですが、プレッシャーのようなものはなかったでしょうか?
まずは、もう一人の主演である桐山漣くんとの出会いがあります。漣くんは僕より8歳年上ですし、最初僕に会ったときに「大丈夫か?」と思ったようです。その後、何度かリハーサルさせてもらって、明日からクランクインというときにも、漣くんに「明日までにはちゃんとしてきてね」と言われました。当時の僕は、一緒にお芝居をしても、目を合わせることもできなかったので、これはしょうがないことだと思いました。それに、監督やプロデューサーからは、「平成ライダーのシリーズが10周年を迎え、今回で11年目。20年目に向け、新しいスタートを切る作品ですが、もしかしたらこれで終わるかもしれない」と言われました。それだけ大きい任務を任されていることを初めて知って、もう「頑張ります!」としか言えなかったですね。ところが初のお芝居が、まさかのグリーンバック前での一人芝居……。
2012.09.07(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Shigeki Yamamoto