一人ぼっちの自分を引っ張りあげてくれた仲間
――そして、芝居の勉強をするために、養成所(ワタナベエンターテイメントカレッジ)に入るわけですが、それまで芝居経験がなかったなかでいかがでしたか?
養成所時代は、人間なのに、当たり前である喜怒哀楽の表現ができないことに腹が立っていましたね。あとは、仕事を取りに行くんだという意識が強くて、「ここに通いながら、(街で)遊んでいるやつの精神がよく分からない」と思うぐらい自分を追い込んでいました。そのため、名古屋には絶対に帰らず、正月も一人で過ごしていましたし、どのようにしたら講師の方を振り向かせることができるか? ということばかり考えていました。
――その後、2010年開催のワタナベエンターテインメントのオーディションでファイナリストとなり、俳優集団D-BOYSの弟分ユニットであるD2に加入されましたが、いわゆるグループ活動をすることで何かが変わりましたか?
矛盾しているとは思いますが、野球をやっていたのに団体行動が苦手だったんですよ(笑)。だから、どうやって人と付き合えば、巧く事が運ぶか? ということしか考えていなかったんですが、D2に入ったことによって、ちゃんと人に触れた気がします。牛丼屋で働きつつ、エキストラだった一人ぼっちの僕を引っ張りあげてくれたのが、D2のメンバーでした。なので、僕自身もメンバーとちゃんと心で接しようと思いました。イベントでスベった発言をしても、フォローしてくれたし(笑)。今では感謝の気持ちでいっぱいです。
2017.04.14(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤