スキルアップとの戦いだった
「テニミュ」時代

――そして、2011年、舞台「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン(以下、「テニミュ」)」の向日岳人役で俳優デビューされます。

 芝居だけじゃなく、歌もダンスもやらなきゃいけないし、僕が演じるキャラ上、アクロバットもやらなきゃいけなかったんです。ただでさえ、ほかのキャストよりスタートラインが後ろなのに、自分ができないことが腹立たしかった。しかも、ファンの方も多い作品でのプレッシャーもあって、当時は毎日が地獄のように大変でした。でも、今考えると、最初の作品が「テニミュ」だったので、スゴく鍛えられたという気持ちは強いです。

――その後、14年まで「テニミュ」を続けるわけですが、どんな3年間でしたか?

 数カ月公演をやって、次の公演までに、たとえば「タンブリング」のようなほかの舞台だったり、ドラマだったり、バラエティだったり、ほかのお仕事で、いかに自分が経験を積んで、スキルアップしていくか。それが勝負だと思っていました。つまり、「テニミュ」の現場しか知らない状況と、ほかの現場も知っている状況とはまったく違うので、常に必死な3年間でした。

――そんな状況で、いちばん学んだことは?

 しかも、高校に行きながらだったのですが、何がそこまで自分を奮い立たせたか、というと、わざわざ予定を立てて、チケットを買って観に来てくださる方がいるんだという気持ちですね。だから、生半可な気持ちでできないし、弱音も吐いちゃいけないなと思うようになりました。

2017.03.24(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘