【WOMAN】
インテリ美形のヒモニートがやって来たら、歓迎 or 拒否?

 落ちものと言えば、ある日突然美形の異性がやって来て、平凡な主人公の日常が変わっていくのがお約束。男マンガ占有のシチュエーションかと思っていたら、「男もすなる落ちものマンガといふものを、女もしてみむとてするなり」の一作が!

 どこにでもいそうなOL藤原沙織の前に、次元を超えて光源氏が現れ、平成の世をエンジョイする『いいね!光源氏くん』がそれ。平安貴族らしい繊細な感受性、知識階級らしいクレバーでエレガントな立ち居ふるまい。とりわけ才を発揮するのは、ツイッター。確かに字数制限のある表現方法は、和歌を得意とする光源氏にぴったりだ。

 衣食住の面倒を見ている沙織が〈これって立派なヒモなのでは……?〉とイライラする場面もあるが、大の大人だと思うから腹が立つのであって、これが道で拾った可愛らしい犬や猫ならどうだ。愛らしい存在を愛でて生活に潤いを持つのは、現代女性の幸せのひとつ。うらやましい。

『いいね!光源氏くん』(全1巻) えすとえむ

光源氏が、当時と現代とのカルチャーギャップに驚きつつも、なじんでいくさまが笑いを誘う。美形だからユニクロを着てもさまになるし、チョコレートファウンテンを見て「沼?」というセンスも憎めない。歌人が本作のために詠んだという作中歌も雅。オチまで納得の世界観に拍手。
祥伝社 700円
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Column

男と女のマンガ道

男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!

2016.12.06(火)
文=三浦天紗子

CREA 2016年12月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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