白い紙に1本のペンで、紺碧の海も詩情豊かな雪原をも描きだすのがマンガ。方言混じりの温かなセリフや情感たっぷりの風景で紡がれた、実在の街を舞台とするマンガは、ページを開くだけでその街にトリップさせてくれる。ということで、街が印象的に描かれるマンガを12作品ピックアップ。

 第1回は切なく深い感情が交差する、「海辺の街」の熱い青春を描いた3作品をご紹介します。波打ち際の儚い泡とどこまでも青く豊かな海。海と思春期の感性がシンクロして生まれたドラマがここに。

» 第2回 北のロマンが息づく街「札幌」
» 第3回 ディスカバー・ウエスト「三都物語」
» 第4回 地方出身のマンガ家から見た「都会」

『ラヴァーズ・キス』<鎌倉>

夏の青い空を残し嵐は去っていった――

 早朝の鎌倉の海で、初めて言葉を交わした朋章と里伽子は、ともに人に言えない傷を持っている。互いになくてはならない存在になった2人の周囲にも、さまざまな恋模様が生まれては弾け――。現在連載中の『海街diary』につながる物語。

『ラヴァーズ・キス』
吉田秋生 小学館
新装版 全1巻 741円
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<次のページ> 湘南の夜を印象的に描いた名作『ホットロード』

2015.08.08(土)
text=Mao Yamawaki

CREA 2015年9月号
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この記事の掲載号

本とおでかけ。

CREA 2015年9月号

街へ公園へ、空想の世界へ
本とおでかけ。

定価780円