今月のテーマ「『一瞬』の裏にあるモノ」

【MAN】
一瞬が24倍になる世界で
国家存亡の戦いが始まる

 第1話の冒頭、アルバイト仲間との飲み会の帰り道で、同僚のしずかが、ヒロシに突然キスをした。そこでなぜだか、SFアニメ調のナレーションが挿入される。「スカベリア姫国にとって――国家の存亡を賭けた戦いがこの時まさに 開戦した」。実は、ヒロシは外宇宙からやって来たスカベリア国民6000万人を擁する「人間要塞」だったのだ……って、何その設定!?

 かくして大統領及び艦長は、「外生物」しずかの恋心を回避し平和を維持するため、一大作戦を始動させる(ヒロシの正式名称は漢字で「緋炉詩」)。スカベリアの1時間は、地球時間の1日。地球上の「一瞬」に発生する24倍のタイムラグを利用して、科学班と討議し、とっておきの新兵器を繰り出す。

 ちなみに2度目の国家滅亡の危機は、アルバイト先の中華屋で餃子を大量に作らなければならず、オペレーターたちが精神汚染でオーバーヒートして……って、だからホント、何その設定!?

『超人間要塞ヒロシ戦記』(既刊2巻)
作画 まつだこうた 原作 大間九郎

「宇宙一幸福な国」と誉れ高きスカベリア姫国は、外生物擬態都市型宇宙要塞艦・緋炉詩に6000万の国民を乗せて地球へ避難し、体内(=艦内)で平和な生活を送ってきた。ところが「外生物」しずかからの片想いが、最悪の事態を引き起こし……。「イブニング」連載中。
講談社 590円

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2017.01.06(金)
文=吉田大助

CREA 2017年1月号
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この記事の掲載号

ゆるむ、台湾。

CREA 2017年1月号

食べてのんびり、また食べる
ゆるむ、台湾。

定価780円