ずっと気になっていた秘密の小部屋でチェックイン
2015年に19回にわたって連載した「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周」は、延べ50万PVを超えるたくさんの皆さんに読んでいただき、著者冥利に尽きるコラムとなった。皆さんのお陰さまで、その人気連載が2017年春、ブックマン社〈外部サイト〉から書籍化されることになった。
この本は、お得に楽しくファーストクラスに乗るためのノウハウがたっぷり詰まった指南本。昨年の取材では、ワンワールド・アライアンスの世界一周航空券を使って、JALを始めとする4社のファーストクラスに8回乗った。でも、これでは書籍化の取材としては足りない。世界一周航空券でファーストクラスに乗ることができる日本の航空会社2社のうち、もう1社、つまり、ANAのファーストクラスに乗らなくては、と思った。
そこで、コツコツ貯めていたマイルを一気に使うことにした。予約したのは、ANAのファーストクラスの最長フライト、約12時間半のニューヨーク便だ。これ、予約がほんとうに厳しかった。ニューヨーク便は利用率が高く、特典航空券用に提供される座席が少ないからだ。
9月末に、10月のフライトをすべて検索したところ、空いているのは2便しか見当たらなかった。帰りのフライトはヨーロッパ経由で、プチ世界一周となったのだけれど、そのもようは、本ウェブの「トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート」でレポートするので、今回は行きのファーストクラスフライトをご紹介したい。
出発当日、楽しみにしていたのはフライトだけではない。空港に着いたときからわくわくしていた。いつも気になっていた秘密の小部屋に入れるのだもの。
成田空港の出発ロビーに、なにやら黒い箱のようなものがあるのをご存じだろうか。入り口には「ANA SUITE CHECK-IN」と書いてある。JALファーストクラスが通常のチェックインカウンターの1列を使っているのに対し、ANAは、この特別な空間の中でチェックインすることになる。
ここは、ANAと、提携しているルフトハンザ航空、スイス インターナショナル エアラインズ、ユナイテッド航空のファーストクラス搭乗客、そしてANAのフリークエントフライヤーの最上級ステイタス「ダイヤモンドサービス」メンバーのみが利用できるチェックインカウンターだ。
中に入ると、すぐにANAの制服を着た女性やってきてスーツケースを運んでくれる。カウンターが空いていない場合には、手前のイスに案内される。イスは、イタリアの高級ブランド「グランダンゴロ」のソファ。シンプルなデザインながら身体を包み込むように座り心地がいい。5分も待たないうちにカウンターに案内された。
それぞれのチェックインカウンターはパーテーションで仕切られていてプライベート感がある。そしてなんと、タオル地のおしぼりが出された。
取材とは明かさずに通常のサービスを受けたいと思っていたものの、写真を撮りまくっていることが不自然にならないよう、「御社のファーストクラスは初めてなんです!」などと雑談でごまかした(笑)。これが後で幸運をもたらしてくれるとは想像もできずに。
右:ファーストクラスのプライオリティタグ。到着空港の手荷物受取所で優先的に荷物が出てくることになる。
搭乗客数を確認すると、8席に女性2名とのこと。予約時には4席が埋まっていたのだけれど、あとのおふたりはどうしちゃったのかしら、などと思いつつも、人数が少ないほうが写真が撮りやすいので密かにガッツポーズを(笑)。預けたスーツケースは、ベルトコンベアーに載せられるのではなくていねいに運ばれていった。
秘密の小部屋の奥に進むと手荷物検査が待っていた。こんなに人数が少ないのにX線検査はふたつ設置されていた。待ち時間はもちろんゼロ!
次は出発前のハイライト、ファーストクラスラウンジへ!
2016.11.16(水)
文・撮影=たかせ藍沙